●習近平とロシア・ラズロフ外相が会見
サーチナニュース 2014-04-16 10:16
http://news.searchina.net/id/1529969
ウクライナ問題、中国は自国の立場を
「示さず、語らず、報道もせず」
中国の習近平国家主席は15日、訪中したロシアのラブロフ外相と北京市内の人民大会堂で会談した。
新華社、人民日報、中国新聞社など中国の主要メディアが伝えたが、混乱が続くウクライナ情勢については、「習近平主席は中国側の立場と主張を述べた」とだけ伝えた。
同問題について中国は、立場を明確にしない状態が続いている。
新華社と人民日報は習・ラブロフ会談を「習近平とロシア・ラズロフ外相が会見」、中国新聞社は「習近平がロシア外相と会見、中国側のウクライナ問題についての立場と主張を述べる」のの見出しで伝えた。
記事内容はすべて同じで、習主席、ラズロフ外相がともに、中ロ関係の重要さと良好さを強調し、プーチン大統領が5月に中国を公式訪問することについての期待をやや詳しく紹介し、ウクライナ問題については双方が「立場や主張を述べた」と紹介するにとどめた。
中国中央電視台(中国中央テレビ、CCTV)のニュースも同様の内容だった。
会談には楊潔チ国務委員、王毅外相も同席した。
(「チ」は竹かんむりに厂(がんだれ)、下に「虎」)
ウクライナ問題で、中国が立場や主張を明らかにしない状態が続いている。
政府・外交部の14日の記者会見でも、華春瑩報道官は
「各方面が冷静さと自制を保ってほしいと希望している」、
「情勢のエスカレートに憂慮している」、
「中国は一貫して、国際社会がウクライナ情勢の緩和する建設的な努力することと、調停を行うことを支持している」
と、抽象的で“あたりさわり”のない回答に終始した。
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◆解説◆
中国が立場や主張を明らかにしない理由は「明らかにしないことが国益にかなう」と判断しているからにほかならない。
まず、中国は民衆側の蜂起を支持するわけにはいかない。
特に、「民族感情の絡む実力行使」は、中国自身がウイグルやチベットなどの民族問題を抱えているだけに、理解を示すわけにはいかない。
中国共産党・政府が統一を「国家目標」とする台湾でも3月、学生などによる抗議運動で、大陸・台湾の「サービス貿易協定」が挫折した。
大陸側はこれまで、立場は違っても「一つの中国」の立場をとる馬英九政権に対を、「経済上の恩恵」を与えることで、援護してきた。
共産党・政府にとっては90年代からの
「改革開放による経済活性化で人民の不満をなだめ、党・政府への支持を強化する」
との手法を、台湾に対しても“応用した”と言ってよい。
しかし自国内でも「経済一辺倒」の手法は通用しにくくなり、
民衆による大規模な抗議の増加した。
ウクライナの問題は、台湾で多くの民衆が大陸との関係強化を「理性と節度」ある行動により否定する事態とほぼ同時期に発生した。
中国にとって、
ウクライナにおける「民衆の立ち上がり」は、
自国内および台湾における政権に対する反対運動を勢いづかせなねない「危険な種火」
と言える。
しかし、ウクライナにおける反ロシア運動を批判したり、あからさまにロシアの行動を支持すれば、こんどは国際的に、中国に対する批判が高まることになると考えなければならない。
中国は内実や質の問題はともかく、世界最大の国家だ。
経済規模でも世界第2位になった。
領土などを巡り、中国と東南アジア、日本などとの対立が表面化しているが、
どうしても「大国対小国の矛盾」の構図になる。
つまり、中国がウクライナ問題でロシア当局にあからさまに肩入れしたのでは
「弱いものいじめを選択する国」とのイメージ
が高まりかねない。
仮にロシアに肩入れしたとしてもロシアにさほどの実益をもたらすとは考えられえない。
つまりロシアに「大きな貸し」を作ることにも、結びつかない。
そのため、中国はウクライナ情勢についても、「積極的に発言するだけ野暮」とばかりに、不明瞭な姿勢を取りつづけていると理解できる。
「自国にとって損になることにはかかわらない」という、実利外交を貫いている
と理解することができる。
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【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】
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