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サーチナニュース 2014-04-01 17:48
http://news.searchina.net/id/1528636
全国31省の7割以上が経済成長目標を前年実績よりも引下げ=中国
中国の31の省クラス行政区画(省、中央直轄市、民族自治区、以下、「省」と総称)のうち、7割超に相当する22省が2014年の経済成長目標で、GDP伸び率を13年実績より低く設定したことが分かった。
中国新聞社が報じた。
13年の経済成長目標では31省のうち、
遼寧省、山東省、広東省、河北省、浙江省、北京市、上海市の7省だけが、GDPの伸び率目標を10%未満としたが、
実績値では、
海南省、山西省、内モンゴル自治区、江蘇省、河南省、黒龍江省、吉林省の7省もGDP伸び率も10%未満で、
全国14省が「1けた成長」にとどまった。
14年目標については、
●.海南省が13年実績の9.9%成長に対して「10%前後」に、
●. 黒龍江省が13年実績の8%成長に対して「8.5%」とした。
●.13年実績と同じにしたのは貴州省、寧夏回族自治区、山西省、内モンゴル自治区、遼寧省、河南省、広東省で、
●.残りの22省は14年目標を13年実績より引き下げた。
14年のGDP伸び率目標を10%より高く設定したのは、
●.貴州省(12.5%)、チベット自治区(12%)、天津市(11%)、重慶市(11%前後)、雲南省(11%以上)、陝西省(11%前後)、甘粛省(同)、新疆ウイグル自治区(11%)
で、経済発展が遅れているとされる内陸省がほとんどだ。
北京市と上海市は目標を7.5%と、全国でも最も低く設定した。
固定資産投資率の伸びでも、31省中16省が14年目標を13年実績より低く設定した。
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◆解説◆
中国では、ごく狭い範囲の自治体以外には、行政官の選挙制度がない。
県や市、省のトップや上層部は、「上級」により評価され、事実上の異動が行われる。
「直接の民意の洗礼を受ける仕組みがない」
という問題はあるが、成績考課が地位に直結する「強い緊張感」が存在するとされる。
改革開放が本格化してからは経済成長、つまりGDPの伸び率が重視された。
胡錦濤政権は「経済成長一辺倒」の風潮に歯止めをかけようとしたが、完全には成功しなかった。
中国共産党は2013年11月に開催した第18期中央委員会第3回全体会議(18期三中全会)と年末に開催した中央経済工作会議で改めて、地方幹部の“成績考課”の変更を決めた。
変更のポイントは「量より質の重視」で、
●.「GDPについての評価の比重を下げる」、
●.「効率と持続可能性を重視する」、
●.「債務状況を重視する」
などで、地方政府が抱える膨大な債務が問題になっていることから、
地方の責任者に対しては離任後であっても責任を追及すると強調された。
12年秋に発足した習近平政権は、「中央の強い意志」を全国に浸透させようとしている。
中国の多くの省が「GDP成長の増速」を目標からはずしたことに、
「習近平政権の意向に沿うことが上策」
とする、各省上層部の判断が働いている
ことは間違いない。
省政府などの上層部は中央で選ばれ、就任してある程度の期間が経過すると、別の地域に異動することも多い。
その意味で、
中国では歴史的に完成された任官の習慣が、現在も残っている
とみることができる。
同方式は適切に運用されれば、中央の意向を反映した効率のよい行政を実現することができる。
経済成長を最優先課題とした90年代の中国では、同方式が「威力」を発揮したと評価することができる。
同方式の問題点としては、人間関係に頼った地位保全や、周囲や上層部に対する「ごまかし」が発生しやすいこと、さらに民意よりも党上層部の自らに対する評価を重視する意識になりやすいことなどがある。
過去に発生した最悪の事例のひとつとしては、1958-60年の大躍進政策がある。
毛沢東主席が米英を短期間で追い越すことが可能と信じ、農業や工業の大増産を求めた。
地方の行政官は、目標を達成できなかったことで怒りを買うことを恐れ、経済実績について極端に水増した数字を提出。
中央は虚偽の数字を元にして次の指示を出すなどで、産業と経済が大混乱した。
自然災害が重なったこともあり、全国で2000万-5000万の餓死者が出たとされる。
大躍進による犠牲者は、1966年から約10年間続いた文化大革命による死者についての最大の見積もりである1000万人よりも、はるかに大きい。
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【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】