●中国70都市の新築住宅販売価格の上昇率 (ロイター、中国経済ネットなどを参考に筆者作成)
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JB Press 2014.04.15(火)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40414
杭州で不動産が値崩れ、
怒り狂う購入者たち、
忍び寄る地下金融破綻の日
2014年2月、浙江省の省都、杭州市で住宅の販売価格が下落した。
複数の新規分譲マンションで、平米単価が下がったのである。
浙江天鴻房地開発有限公司が販売する「天鴻香榭里」は、平米単価が3割下落し、また「徳信北海公園」でも2割下落した。
事前に高い価格で購入していた所有者は「買った住居を買い取れ」と、販売センター前を占拠し、横断幕を張って騒ぎ立てた。
資産価値の下落に怒り狂う既購入者たちの襲撃を受け、販売センター内の住宅模型が壊されたところもあった。
■中国全体で新築住宅価格の上昇率が鈍化
中国では、住宅の値下げ局面は過去にも何度か存在した。
中央政府のマクロ調整策と不動産価格の上下動はリンクしている。
住宅価格の過度の上昇を抑制するために中央政府がマクロ調整策を導入すると、デベロッパーは販売戸数を減少させ、値引きを始めるのである。
こうしたパターンは2000年代から現在に至るまで何度か繰り返された。
近年では2011年に、政策導入をきっかけに不動産価格が顕著に下落した。
その影響で、2012年は「不動産市場は冬の時代」と言われたが、2013年になると、中国不動産はまたしても価格上昇に転じた。
同年の中国70都市の住宅価格の上昇は、前年対比9.7%。
投機的購入を抑え融資を制限する政策を継続させているにもかかわらず、2010年に記録した“歴史的最高水準”にまで戻ってしまった。
しかし、今年に入り変化が表れる。
上昇率の鈍化だ。
中国の70の大中型都市の新築住宅価格は、1都市を除いて1月、2月とも前年に比べ上昇しているが、上昇率は2013年12月をピークに2カ月連続で鈍化している。
こうした変化は、マクロ経済に翳りが見えていることに加え、銀行が融資を絞ったことが大きく影響したと見られる。
中国では2月24日、中国の商業銀行の1つである「興業銀行」が不動産業界向けの融資を停止したというニュースも流れた。
興業銀行は不動産向け融資の先駆者としても知られる。
融資に占める不動産業向け貸し出しが高く、簿外の取引を含めればその割合は3割を超えると言われていた。
また、同行の杭州支店は、大手不動産デベロッパーを相手に信託商品を提案し、数百億元の資金を貸し付けるなど、半ば強引とも言える融資を繰り返していた。
数カ月前まであれほど融資に積極的だった興業銀行が一転して融資を止めたという報道は、中国全体に「中国不動産市場は転換点を迎える」という警戒感を与えた。
■金融引き締め策によって温州では信用危機に
さて、ここで気になるのが杭州の不動産市場の先行きだ。
浙江省の杭州市と言えば、外資企業を集め、風光明媚な観光地としても知られる都市でもある。
同市における住宅の販売状況は明らかに悪化している。
資料によれば、2013年1月の杭州市における販売戸数は4635戸だったが、今年1月は2631戸と43%も減少した。
また2014年3月の時点で、杭州市の新規分譲住宅のストックは11万戸、中古住宅は10万戸を突破した。
杭州市で毎年消化される住宅戸数は8万戸と言われているので、
実に3年分がダブついている
という計算である。
杭州は全国でも「最もストックが多い都市」でもあるのだ。
浙江省の不動産市場は“シャドーバンキング(影の銀行)”の一種である地下金融と密接に関わっている。
杭州市の経済が今後どのような末路をたどるかは、地下金融と不動産投機のメッカである浙江省温州市の状況からも推測できる。
温州市は浙江省の片田舎でもあり、軽工業に依存した地方都市である。国有色の薄い民間経済が早くから発達し、後に中国が改革開放を進める上でのモデル都市にもなった。
温州市の経済発展は一時期まで軽工業を中心とした製造業だったが、2000年代から不動産投機に軸足を移していく。
端的に言えば
「地下金融で調達した資金を不動産に投資して儲けるモデル」
である。
「不動産投資を異常に好む」独特の地方色が、地元の住宅価格を吊り上げた。
2010年代に入っても投資欲は旺盛で、「まだ値上がりする」という強気の読みが、当時、地元経済に資金需要を発生させていた。
しかし、2011年に政府が不動産バブルやインフレ懸念から金融引き締め策へと転じると、温州では信用危機が起こった。
高値で購入した不動産の転売は行き詰まり、中小企業は瞬く間に資金繰りが悪化した。
不動産に投入された資金には、地下金融からの資金が大量に流れ込んでいた。
地下金融からの資金調達は地元では日常的な習慣でもあり、
温州市の9割近い家庭と個人がこれに関わり、
また6割近い企業がこれに関わると言われている。
民間での資金の貸し借りとはいえ、
実態は不動産を担保にした高利貸しであり、
値崩れとともに資金を返済できなくなる者が続出した。
当然、温州市の経済は停滞することになる。
中国の70の大中型都市の新築住宅価格について前述したが、69の都市が価格上昇する中で、1都市だけ下落しているのがこの温州市である。
■温州の破綻は杭州に連鎖するのか
中国人民銀行の職員で、浙江省の経済に詳しい人物は言う。
「浙江省の人々は、地下金融で調達した資金で価格を吊り上げてきた。
温州は2011年に破綻した。
温州でも杭州でも行われていることは同じだ。
杭州の価格下落は今後も注視することが必要だ」
また、こうも語っている。
「杭州市の不動産を過熱させてきたのは、浙江省内の中小零細企業の経営者たちだ。
本業の儲けを投じた企業もあれば、地下金融で借りた金を投じた企業もあった。
また、親戚縁者でカネを出し合って投じる温州の主婦たちもいた」
そこには地下金融をめぐる資金チェーンが存在していることが分かる。
杭州市もまた、住宅価格を吊り上げ暴利を貪る「炒房団」(不動産投機集団)が暗躍した市場でもあり、格好のマネーゲームの対象となった。
その資金の由来は多くが地下銀行経由である。
温州を飛び出して浙江省の他都市に飛び火した温州マネーは、さらには地方都市、あるいは沿海部の大都市にも拡散した。
彼らは資金を上海にも投じた。
「炒房団」は「フロア買い」や「一棟買い」、はたまた「小区買い」(一団の土地に複数の住宅を有する街区をまるごと買い占める行為)といった大胆な購入を繰り返した。
■自転車操業の中小デベロッパー
杭州には、省内、省外の中小デベロッパーもなだれ込んだ。
市況にダブつきを発生させた元凶でもある。
浙江省には、「緑城房地産業集団」のように、「杭州緑城」というプロサッカーチームを立ち上げるような大型の上場不動産企業もあるが、ほとんどが地元あるいは外省出身の中小デベロッパーである。
こうしたデベロッパーも“影の銀行”や“理財商品”から資金を調達して事業展開していたわけだから、事態は深刻だ。
中国の不動産金融に詳しい大学教授は指摘する。
「彼らの多くは、自己資金を持たず、実力も経験もないデベロッパーだ。
信託商品を通じて行った資金調達で土地を仕入れ、それを担保に資金返済を行う。
あるいは躯体を建設する前の状態で分譲して資金回収を急ぐ、といったような自転車操業を行っていた」
また、弱小デベロッパーになるほど、直接民間から資金を集める傾向が強くなる。
農民が高利で資金を集めて土地を仕入れ、デベロッパーに転身するケースもある。
中国ではこうした資金集めは違法行為である。
結局は「逮捕」され、その瞬間に資金チェーンは破綻する。
温州のみならず浙江省全域でこうした地下銀行の資金チェーンが構成されている。
仮にどこかが破綻すれば、ドミノ倒しが起きるのは必至だ。
内モンゴルのオルドス市では、需要を上回る住宅開発でゴーストタウンが出現し、地下金融を通して貸し手・借り手となった個人や企業も破綻した。
不動産の値崩れは地下金融の破綻に直結する。
杭州における住宅価格の値崩れは浙江省の経済にどのような影響をもたらすのか。
今後の動向を注視したい。
姫田 小夏 Konatsu Himeda
中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。大学卒業後、出版社勤務等を経て97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、東京で「ローアングルの中国ビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」を主宰。現在、中国で修士課程に在籍する傍ら、「上海の都市、ひと、こころ」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)。目下、30年前に奈良毅東京外国語大学名誉教授に師事したベンガル語(バングラデシュの公用語)を鋭意復習中。
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不動産バブルの崩壊は必ず来る。
要は最後のカードを誰がつかむかだ。
バブルは売り逃げたヤツが勝ちのゲームである。
ヤバイことは分かっていても、まだまだと足を突っ込んでしまう。
そして、その日がくる。
その日にババを持っていたヤツが大損の負け。
昨日までに換金しておいたヤツが勝ち。
すべて筋書きは分かっていることだが、
「まだまだ」という欲に釣られてしまう。
「まだまだ」という欲に釣られてしまう。
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CNN ニュース 2014.04.17 Thu posted at 11:27 JST
http://www.cnn.co.jp/business/35046701.html?tag=cbox;business
中国経済につきまとう不動産バブルの影
●中国の不動産バブルが崩壊するのではないかとの見方が出ている
香港(CNNMoney)
中国における不動産バブル崩壊の危機が再び注目を集めつつあるようだ。
中国の国内総生産(GDP)のうち、不動産セクターが占める割合は約16%に達することから、世界経済への悪影響も懸念されている。
エコノミストらに対する調査では、中国経済の懸念材料として、
不動産バブルの崩壊が2番目に多く指摘された。
1番目は、シャドーバンキング(影の銀行)問題だった。
これ自体は新しい話ではないが、最近になって中国の中小都市の不動産市場がかかえるリスクについてのリポートが相次いで発表されている。
中小の都市では不動産業者が大幅な値引きをして売り急いでいるとされる。
野村インターナショナルによれば、すべての住宅販売のうち中小の都市が占める割合は約70%に達する。
一部の大都市でも不動産販売が減速しているとの指摘もある。
だが不動産市場のリスクを測るには、中国政府の統計だけでは不十分だ。
不動産価格は大都市のものしか公表されていないし、個人所有の住宅に関する統計もない。
野村インターナショナルのアナリストは
「不動産セクターにおける過剰投資はマクロ経済のリスクの筆頭に挙げられる。
不動産セクターは中国経済の要となっており、これが減速すればシステミックリスクが高まるからだ」
と指摘している。
もっとも、リーマン・ショック前の米国と違い、中国では住宅ローンの証券化は進んでいない。
もしバブルが崩壊しても、影響は米国のサブプライムローン危機ほど拡大しない可能性もある。
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レコードチャイナ 配信日時:2014年5月7日 19時14分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=86581&type=0
住宅価格が軒並み下落、「暴利」をむさぼる不動産業界が「暴落」に直面―中国
●7日、中国ではメーデーに伴う連休が過ぎたばかりで、全国不動産市場に「激変」の不安が生じている。資料写真。
2014年5月7日、中国ではメーデーに伴う連休が過ぎたばかりで、全国不動産市場に「激変」の不安が生じている。
中古住宅成約件数から分譲住宅成約件数に至るまで、また北京・上海・広州の大都市から杭州・成都などの中小都市に至るまで、前年同期比・前月比のすべてに「軒並み減少」の現象が見られる。
北京の東三環路の住宅は100万元(約1630万円)以上値を落としたが、依然として買い手はいない。
人民網が伝えた。
全国の不動産市場に暗雲が立ち込めており、万科企業などのデベロッパーも、未来の住宅市場に対して悲観的な態度を示した。
住宅購入の最良の時期が到来したのだろうか?
住宅市場の転換点が、すでに訪れたのだろうか?
◆全国住宅市場成約件数、最低記録を更新
★.北京市住宅・都市建設委員会の公式データによると、北京の5月1-3日にかけての中古住宅成約件数は31件と、前年同期比で「82%減」となり、売買契約が成立した物件のオンライン登録が始まった2009年以降で最低の数値となった。
北京の同期の分譲住宅成約件数は169件で、前年同期比78.9%減となった。
これは2008年にメーデーの3連休が実施されてからの7年間で最低の数値となった。
★.深セン市の5月1-3日の分譲住宅成約件数は49件のみで、前年同期の133件というデータと比較すると、6割以上の下げ幅を記録した。
上海の同期の分譲住宅成約件数は423件、広州市は405件と前年とほぼ横ばいになったが、これは成約件数を伸ばすための販促によるところが大きかった。
★.杭州は同期の市街地の成約件数が57件のみとなり、前年同期の212件と比べ、7割以上の下げ幅となった。
中原地産研究センターの統計データによると、5月1-3日の54都市の住宅成約件数は9887件となり、前年同期の1万4624件から32.5%減となった。
そうち大都市の下げ幅が最大だった。
大都市の3日間の成約件数は、40%減の1046件のみだった。
中都市の減少率も、平均で35%に達した。
中原地産のチーフエコノミストの張大偉(ジャン・ダーウェイ)氏は、「減少率の平均値を見ると、大都市は中小都市を上回っていることが分かる。
昨年12月以降の市場の動向を見ると、成約件数の減少の流れが強まっている」と指摘した。
◆住宅価格の下落、北京にも波及
成約件数が最低記録を更新すると同時に、常に堅調であった成約価格にも低下が見られた。
4月の「100都市住宅価格指数」によると、約半数の都市の住宅価格が前月比で低下し、万科企業などの有名デベロッパーでさえ、今後の住宅市場に悲観的な態度を示した。
◆不動産会社の業績が悪化
先ほど公開されたばかりの第1四半期業績報告書によると、「暴利」をむさぼる業界とされていた不動産業界は「暴落」に直面し、全体的に業績が悪化した。
また過半数の企業の純利益が減少しており、これには業界大手の万科企業、招商地産、金地集団などが含まれた。
データによると、第1四半期の純利益が減少したのは、142社の不動産会社のうち過半数の74社に達した。
そのうち万科企業の第1四半期の売上は前年同期比32.16%減の94億9700万元(約1550億円)にとどまった。
純利益は13年ぶりに前年同期比で減少し、5.23%減の15億3000万元(約250億円)となった。
この減少率は、業界全体とほぼ同水準となった。
招商地産の第1四半期業績報告書によると、第1四半期の売上は前年同期比18%増の72億5100万元(約1200億円)に、純利益は6.82%減の7億5500万元(約120億円)になった。
金地集団の第1四半期の業績は、より驚きの内容となった。
報告書によると、同社の第1四半期の売上は25.91%減の31億5000万元(約510億円)、純利益は73.65%減の4934万3800元(約8億円)に落ち込んだのだ。
◆転換点を論じるのは時期尚早
中国国務院発展研究センター市場経済研究所所長の任興洲(レン・シンジョウ)氏は、住宅市場が転換点を迎えたかという記者の質問に対して、
「転換点とはやや誇張の嫌いがある。
現在の住宅市場には成約件数・価格が共に減少・下落するという現象が生じているが、これは市場が理性を取り戻しているためだ。
住宅価格が永遠に高騰する国などはない」
と指摘した。
中国不動産協会副秘書長の何[王奇](ホー・チー)氏は、
「住宅市場の転換点を論じるのは時期尚早だ。
価格と成約件数が10%以内で変動するのは正常なことだ。
全国の住宅市場で20%以上の下落が生じなければ、転換点が訪れたとは言えない。
現状を見ると、中小都市の一部のプロジェクトが値下げを実施しているが、これは住宅市場の全体状況を反映するには足らない。
住宅市場の発展については、大都市の住宅価格の変化を見なければならない」
と分析した。
住宅価格の暴落や成約件数の減少などについて、何氏は次の複数の原因があると指摘した。
(1).銀行貸付の引き締めにより、投機目的を除く一部の需要が抑えつけられた。
購入者は貸付が得られず購入を断念し、成約件数が減少した。
(2).「自住型商品房」(政府が一定の条件を満たす世帯に提供する、周辺の分譲住宅より30%ほど割安な住宅)や住宅購入制限令などの影響により、購入者は住宅価格の下落を見込み、静観ムードが高まった。
デベロッパーは経済情勢の影響を受け、資金を回収するため、販促により成約件数を伸ばし、在庫を消化している。
これが循環し、成約件数が最低記録を更新し、デベロッパーが値下げをするという状況になっている。
何氏は、
「住宅市場は双方向に調整する過渡期を迎えており、ゆえに住宅価格に変動が生じるのは正常な現象である」
と指摘した。
住宅市場の真の方向が見えるのはいつかという質問に対して、何氏は
「少なくとも3カ月、つまり今年8月にならなければ、住宅市場の動向を最終的に確定することはできない」
と予想した。
(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/武藤)
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【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】
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