2014年4月21日月曜日

日本と中国の相似点:債務と高齢化、経済的課題は酷似、高学歴高齢者が多くいる先進国では高齢化の負荷は軽くなる

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レコードチャイナ 配信日時:2014年4月21日 6時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=86845&type=0

債務と高齢化、安倍政権と習近平体制の経済的課題は酷似―米紙


●17日、米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は、日中の経済的課題は酷似しているとの記事を掲載した。政治的には大きく異なる両国だが、経済政策の目標は酷似している。債務増加と高齢化という課題を前に経済改革に取り組むことが必要となる。写真は上海。

 2014年4月17日、米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は、日本と中国の経済的課題は酷似しているとの記事を掲載した。
 19日、参考消息網が伝えた。

 政治的には大きく異なる日中両国だが、経済政策の目標は酷似している。
 債務増加と高齢化という課題を前に経済改革に取り組むことが必要なのだ。
 世界2位と3位の経済体である日中両国だけに改革の成否は世界経済にとってもきわめて重要な問題となる。

 アベノミクスに取り組む日本だが、消費税の増税から成長予想は悪化。
 日銀は4月に追加緩和策を打ち出さなかったが、年内にもなんらかの手立てを迫られる可能性がありそうだ。
 中国は生産能力過剰の削減に取り組んでいるほか、
 一部金融商品のデフォルトを認めることで、すべての金融商品を救済することはないとのメッセージを打ち出している。
 青春期から成熟期への転換を迎えた中国経済にとっては必要な処置といえるだろう。

 アナリスト、ビジネスマンともに安倍政権、習近平(シー・ジンピン)政権誕生後の改革を好感視している。



2014.04.30(水)  The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40552

世界的な高齢化:高齢者の労働と経済
(英エコノミスト誌 2014年4月26日号)

今すぐ政策を変え始めなければ、高齢化する経済はやがて減速し、格差が広がっていくだろう。


●80代に入ってなおバークシャー・ハザウェイの会長兼CEOを務めるウォーレン・バフェット氏〔AFPBB News〕

 5月3日に米投資会社バークシャー・ハザウェイの年次株主総会を華やかな社交ショーとして開催するウォーレン・バフェット氏は、米国資本主義の象徴だ。

 83歳になるバフェット氏は、ある顕著な人口動態傾向の体現者でもある。
 すなわち、高いスキルを持つ人々が、かつては「老齢」と見なされた歳になっても働き続けるという傾向だ。

 先進国全体で、高学歴の人がスキルの低い人よりも長く働く傾向が強まっている。
 62~74歳の米国人男性のうち、専門職学位を持つ人は約65%が現役で働いているのに対し、高卒の学歴しか持たない人では、その割合は32%にとどまる。
 欧州連合(EU)でも傾向は同じだ。

 このギャップは、高学歴の富裕層とスキルを持たない貧困層との間に広がる溝の一部となっている。
 この溝は、あらゆる年齢層を分断している。
 急速な技術革新は、高度なスキルを持つ人の収入を上げる一方で、スキルを持たない人の収入を押し下げた。
 スキルが特に高い人の年間労働時間は、スキルをほとんど持たない人よりも長い。
 また、高学歴の人の就労年数は、低学歴の人よりも長くなっている。

 この傾向がもたらす影響は、個人にとっても社会にとっても甚大だ。

■より高齢でより賢く、しかも数が多い集団の出現

 世界は今まさに、高齢者人口の爆発的増加の時代を迎えようとしている。
 寿命はさらに延び続けるはずだ。

 65歳以上の世界人口は、今後20年で6億人から11億人へと、ほぼ倍増する見込みだ。
 20世紀には、寿命が延びれば、その分、就労年数ではなく退職後の年数が長くなった。
 その経験から、今後の高齢化が経済成長の減速と「長期停滞」をもたらし、年金受給者数の増加が財政を破綻させると予想する向きも多い。

 しかし、「働く若者と働かない高齢者」というこの対立の図式からは、スキルの高い人と低い人の格差の拡大という新たな傾向の観点が抜け落ちている。
 スキルを持たない若者の雇用率が低下している一方で、スキルの高い高齢者の就労年数が伸びている。
 この差が最も極端なのが米国だ。
 米国では、高学歴のベビーブーム世代の退職年齢が上昇しているのに対し、スキルの低い若者の多くが失業している。

 原因の一端は政策にある。
 多くの欧州諸国では、早期退職を促す政策が放棄された。
 平均寿命の延びに加え、気前のいい確定給付型年金制度に代わる無駄のない確定拠出型年金制度の導入により、富裕層でさえ、不安のない老後を送るためには、これまでよりも長く働かざるを得なくなっている。

 だが、仕事の性質の変化も大きい。
 高学歴者の賃金が急上昇し、高齢になっても高い給料を稼ぎ続けているのは、
 高学歴の高齢者の生産性が、今では以前の高齢者よりも高くなっているからだ。
 技術の進歩がそうした変化をさらに後押しする可能性は十二分にある。
 経営の専門知識や創造性など、コンピューターの能力を補完するスキルは、必ずしも年齢とともに低下するものではない。

 こうした傾向は、幸運な高齢者の利益になるだけでなく、いろいろな点で社会全体の利益にもなるだろう。
 成長の減速は、予想よりも緩やかになるはずだ。
 高額所得者が長く納税するため、財政も健全化する。
 高学歴の高齢者が多くいる先進国では、50~64歳の半数が小学校を卒業していない中国のような国よりも、高齢化の負荷は軽くなるだろう。

 しかし、社会的階級の反対側では、状況は厳しい。
 肉体労働は年を取るほど難しくなる。
 低賃金の人や失業者の目には、公的年金がより魅力的に映るだろう。

 世間の憎悪の対象となる人物像の典型は、
 「納税者を犠牲にして、仕事もせずに女王のような暮らしをする生活保護受給者」
から、
 「あくせく働く同年輩の人々の努力をよそに、納税者の施しを受ける怠け者の高齢者」
に変わるかもしれない。

■悪影響を回避する方法

 経済への影響も、プラスのものばかりではない。
 裕福な高齢者が貯蓄をさらに増やす結果、需要が低迷する。
 格差が広がり、最終的に遺産相続で次世代が受け継ぐ富の比率が高くなることで、勝者と敗者を隔てる溝はさらに深まる。

★.考えられる対策の1つが、相続税の引き上げだ。
 公平性の低い税金の代わりとするなら、妥当な対策と言えるかもしれない。
 相続税が高くなれば、高齢者は恐らく、財産を貯蓄よりも消費に回すようになるだろう。
 だが、各国政府は所得の再配分を重視するのではなく、定年制度や教育の改革により、所得を増やすことに力を注ぐべきだ。

 適切な退職の時期は、もはや年齢で決めるべきではない。
 より長く働く意欲を削ぐ定年制度や年金制度は、廃止する方がいいだろう。
 福祉については、スキルの高い人の方に大きなチャンスが開かれていることを踏まえたものにする必要がある。
 年金は今よりも累進的なものに(つまり富裕層には少なく)すべきだ。

 加えて、この傾向は、生涯を通じた教育への公的投資を強化することの重要性をはっきりと示している。
 現代の労働市場で成功するために欠かせないスキルを、より多くの人が身につけられるようにする必要がある。

 現在のところ、多くの国の政府が、退職年齢に近い高齢者の再教育に投資するのを渋っている。
 それは無理もないことだが、高齢者が長く働けるようになれば、そうした投資はずっと意味のあるものになる。

 60歳の怠け者がコンピューター科学者になるのは難しいだろうが、増加傾向にある超高齢者の介護といった実用的職業スキルを身につけることはできるはずだ。

■高齢者の力を

 そうした改革を各国政府が実行できる見込みは、どれくらいあるだろうか?
 現在の先進国を見る限り、楽観は難しい。
 高齢の有権者が増加しているうえ、高齢者の投票率は若年層よりも高いため、政治家は思い切った改革を実行するよりも、高齢者に迎合する方に熱を入れる。

 ドイツでは、欧州で最も急速に高齢化が進んでいるにもかかわらず、一部の法定退職年齢を引き下げる案が出ている。
 米国では、社会保障制度(公的年金制度)と急速に膨らむ障害者給付金制度に改革の手がつけられないままだ。
 政治家に求められるのは、働き続けることが自分のためになるのだと、スキルの低い高齢の有権者を納得させることだ。

 それは簡単ではないだろう。
 だが、そうしなければ、経済の停滞と格差の拡大という、さらに厳しい状況に陥ることになる。




【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】



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