2014年4月23日水曜日

中国の不安(7)=アメリカなき世界に迫る混沌の時代:日中対立が深刻な火種に、海自の弾道ミサイル技術は純国産

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ニューズウイーク 2014年4月22日(火)12時43分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2014/04/post-3250.php

アメリカなき世界に迫る混沌の時代【前編】
A World Without the United States
ウィリアム・ドブソン(スレート誌政治・外交担当エディター)

「世界の警察官」が不在になればアジアや中東各地で覇権争いが激化し国際社会は大混乱に陥りかねない


●傍観者 イラクやアフガニスタンでの戦争に疲れたアメリカは世界から距離を置きたがっている Yves Herman-Reuters

 アメリカは疲れ切っている。
 イラクとアフガニスタンでの12年に及ぶ戦闘で、数千人の兵士の命と巨額の国費が消えた。その結果、アメリカ人は疲弊し、分断され、戦争に二の足を踏む。

 米政府は、現代版のローマ帝国さながらの狭量な政治的憎悪に翻弄されている。
 13年3月には財政赤字削減をめぐる民主・共和両党の協議が決裂し、歳出の強制削減が発動。
 国防費は削減された。

 さらに、10月にかけて債務上限引き上げ問題をめぐる与野党の対立はエスカレート。
 米政府は、世界経済にパニックを引き起こしかねないデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に追い込まれた。
 政府機関が閉鎖されるなどの大混乱を受けて、バラク・オバマ米大統領は10月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議を欠席せざるを得なかった(米軍をアジア太平洋重視に転換させる「ピボット」戦略の目玉となるはずの重要な会議だった)。
 08年の金融危機でアメリカ式経済モデルが地に落ちたように、
 2013年の政治の迷走はアメリカ式政治モデルへの信用を失墜させた。

 アメリカ人はかつて自分の国が世界で突出した存在であることに孤独を感じていたが、今では他国と距離を置きたがっている。
 といっても、アメリカが弱体化したわけではない。
 軍事力では他国の追随を許さず、景気は回復基調にある。
 失業率は低下し、エネルギーの外国依存度も短期間で急速に改善した。
 アメリカ人はただ、「世界の警察官」の役割を他の誰かに代わってほしいのだ。

 シカゴ国際問題評議会の12年の調査では、アメリカが国際問題から手を引くべきと答えた人は、1947年以来最も高い38%だった(イラク、アフガニスタンでの戦争の渦中に育った18〜29歳では半数以上だ)。

 アメリカ人にとって「世界」は不愉快な存在になりつつある。
 大西洋や太平洋の海上交通路をなぜアメリカが警備するのか。
 独裁者たちが自国民を苦しめているというだけで、なぜ米軍を派遣しなければいけないのか。
 ピュー・リサーチセンターの最新世論調査でも、アメリカ人の52%が
 「アメリカは自国の問題に専念し、諸外国の問題は当事国の裁量に委ねるべきだ」
と答えている。

 一方、世界がアメリカに愛想を尽かし始めた面もある。
 最大の原因は、元CIA職員のエドワード・スノーデンが暴露した米国家安全保障局(NSA)の監視活動だ。

 人々の通信を監視し、行動や居場所を追跡するNSAのスパイ活動は、多くの人々の想像をはるかに超えるレベルだった。
 とりわけ深刻なダメージをもたらしたのは、ドイツのアンゲラ・メルケル首相をはじめ同盟国の指導者たちの通信まで傍受していた事実だ。
 これによって、ただでさえ低下していたアメリカへの信頼は一段と傷つき、そもそも米政府を信頼していいのかという疑問まで浮上している。

 では、既存の国際関係が揺らぎ、アメリカが指導的役割を果たさなくなったら、世界にどのような影響が生じるのか。
 アメリカがリーダーでなくなった世界とはどんな世界なのだろう。

日中対立が深刻な火種に

 そこに待ち受けるのは、対立が絶えない恐ろしい世界、無秩序と混乱が広がる世界だ。
 現時点でアメリカに代わって国際秩序を守り、歯止めとなれる国は存在しない。
 どの大国も政治的意思や軍事力、経済的影響力の面でアメリカの抜けた穴を埋めることはできない。
 その結果、世界は複数の国が覇権を争いつつ、どの国もトップに立てない混乱状態に陥るだろう。
 アメリカなき世界では、アメリカに向けられていた世界の怒りは強い不安感に取って代わられる。

 中国に日本、ロシア、ブラジル、イランそしてサウジアラビア。
 こうした各地域の有力国は、支配的な地位を得たい野心を隠そうとしないだろう。
 トルコやインドのような新興国は独自の道を歩もうとし、その邪魔をする国々を相手に危険な行動に出るかもしれない。

 中東はエジプトやサウジアラビア、イスラエルにおける予期せぬ事態の暴発に見舞われる恐れがある。
 中国やロシアの独裁政権は遠く離れた独裁国家の後ろ盾となり、民衆運動の弾圧に手を貸すかもしれない。

 南シナ海での領有権争いは収拾がつかなくなる可能性がある。
 アメリカのアジアにおける軍備削減につけ込んだ北朝鮮が何をするかは予測がつかない。

 こうしたシナリオの一部はまったくの仮説でもない。
 成長の続くトルコは、近隣地域でこれまで以上に大きな役割を果たすことを熱望。
 イスラム色の強い同国のエルドアン政権はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相や、軍主導のエジプト暫定政権との対立を強めている。

 アメリカがシリア内戦に介入しないことに憤慨するサウジアラビアは13年10月、国連安全保障理事会の非常任理事国への就任を辞退した。
 思わぬ事態だが、アメリカと意見が異なるなら独自の道を進むしかないのだろう。

(明日4月23日掲載の「アメリカなき世界に迫る混沌の時代【後編】」に続く)

[2013年12月31日号掲載]



ニューズウイーク 2014年4月23日(水)12時40分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2014/04/post-3251.php

アメリカなき世界に迫る混沌の時代【後編】
A World Without the United States


●孤立主義 イラクやアフガニスタンでの戦いに疲れたアメリカは内向きに Andrew Burton-Reuters

(4月22日掲載の「アメリカなき世界に迫る混沌の時代【前編】」から続く)

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領に、ロシア陣営にとどまるよう激しい圧力をかけている。
 そのためヤヌコビッチは、EU(欧州連合)との連携を強める「連合協定」の調印を見送った。
 しかし国民の多くは協定を支持。
 04年のオレンジ革命を思わせる大規模な抗議行動を起こした。

 アメリカなき世界で最も危険な事態に陥るのはアジアだろう。
 中国、日本、韓国、台湾が数十年にわたり競い合う地域で、くすぶる領有権問題が戦火を起こしかねない。
 火種の1つは南シナ海における中国の好戦的な姿勢。
 もっと深刻なのは、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する中国と日本の対立だ。
 13年11月、中国が東シナ海上空に日本のものと重なる防空識別圏(ADIZ)を新たに設定し、紛争の不安が高まった。

 アメリカの安全保障の傘のおかげで何十年もの間、アジア主要国間の不和は休眠状態にあった。
 アメリカがいなければ、アジアはとうの昔に破滅的な軍拡競争に突入していただろう。
 実際、今回の中国の挑発行為には国内問題で手いっぱいのアメリカを試す意図がありそうだ。

 オバマのうたうアジア重視戦略は今のところ中途半端な状況にある。
 しかし領有権をめぐる緊張を背景に、2014年にはその立て直しを図るだろう。
 14年4月にオバマがアジアを歴訪する際は、同盟国である日本と韓国の懸案事項を優先議題にすることが期待される。

■冷戦時代は単純だった

 アジア以外でも14年は騒然とした年になりそうだ。
 各地で選挙が行われ、世界人口の約40%が投票をする。
 ブラジルやチリ、ギリシャ、マレーシア、タイ、トルコを揺るがしたような中間層による抗議デモが世界各地で起き、政府を試練にさらすだろう。
 北アフリカと中東の広い範囲ではアラブの春の余震が続く。
 エジプトやリビア、チュニジアの暫定政府は権力の確立に苦労し、シリアの恐ろしい人道危機は収まりそうもない。

 一方、アメリカ国内は平穏だ。
 オバマは退任間近の時期に入り、支持率も民主党をまとめる力も低下している。
 民主党は14年の上下両院選挙で、負けをどこまで抑えられるかが試されるはずだ。
 第二次大戦以降、大統領在任6年目の中間選挙で政権与党は平均して下院で29座席、上院で約6議席を失っている。

 アメリカが外国で新たな冒険を始めることもないだろう。
 オバマにとって14年の最優先事項は世界に対するアメリカの関与の縮小だ
 具体的にはアフガニスタンから米軍を撤退させ、解決不能な問題を抱える中東から距離を置くことだ。

 過去10年、アメリカの他国への介入がさまざまな結果を生んだことを考えれば、それを避けようとするのも理解できる。
 10年以上にわたるアフガニスタンとイラクにおける戦闘で多大な国費を使ったと、アメリカ国民は感じている。
 テロなどの予測不能な攻撃を受けないためにアメリカは世界の舞台から遠ざかり、喜んで傍観者となるだろう。

 しかし少なくとも冷戦以前からの数十年で、今ほど世界的な騒乱の危機にあったことはない。
 アメリカなき世界では、混乱の可能性は飛躍的に高まる。
 アメリカは困難から逃げるのか対処しようとするのか、その問いに答えるのはアメリカ人自身だ。

 なぜ世界の主導的役割を果たすべきかをアメリカ国民に説明することは、以前ほど簡単ではない。
 ソ連の脅威を喧伝できた冷戦時代はもっと単純だった。
 アメリカのある世界、なき世界はあらかじめ決められたものではなく、選択の問題だ。
 アメリカがこの単純な真実を思い出し、そして他の国々がそれを受け入れるのに新たな悲劇を必要としなければいいのだが。

[2013年12月31日号掲載]




レコードチャイナ 配信日時:2014年4月28日 6時56分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=87248&type=0

日本と中国、水上戦艦配備で争う時代に
=欧州各国を大きく引き離す―カナダ誌


●26日、カナダ軍事雑誌のカンワ・インフォメーション・センター(漢和防務週刊)は「日中が水上戦艦の配備競争時代に入った」と伝えた。写真は東シナ海で演習を行う中国海軍。

 2014年4月26日、カナダ軍事雑誌のカンワ・インフォメーション・センター(漢和防務週刊)は
 「日中が水上戦艦の配備競争時代に入った」
と伝えた。
 環球時報(電子版)が報じた。
 以下はその概要。

 日本と中国が海上軍備を争う時代となった。
 双方とも大型水上戦艦の速度は世界一で、欧州各国を大きく引き離している。
 特に能動型位相操作レーダーを配備した大型水上戦艦の建造競争は激しさを増している。

 日米のイージス艦は潜水艦対策、防空、総合指揮、インターネット戦略などで、中国が開発を進める052Ç弾道ミサイル駆逐艦を上回る。
 しかし、中国の配備数は日本より優位に立っており、量的には日本のイージス艦の総合能力を上回る可能性も出てきた。
 日中の水上戦艦配備競争で、中国が日本をしのぐ事態は歴史上かつてないことだ。

 しかし、海上自衛隊の弾道ミサイル駆逐艦技術は純国産で、
輸出されていないため、詳細について国外の人間が知ることは難しい。
 今後どの程度配備が増やされるかも不透明な状況だ。




【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】


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