●位置
●島民の賛否は五分五分
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ロイター 2014年 04月 18日 11:50 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA3H02420140418/
焦点:自衛隊基地で変わる与那国島、中国にらんだ実効支配の最前線に
[東京 18日 ロイター] -
人口1500人、警察官が2人しかいない国境の島が、100人規模の自衛隊員を駐留させる新たな防衛拠点に姿を変える。
防衛省は19日、尖閣諸島(中国名:釣魚島)に近い沖縄県与那国島で基地建設に着手、海洋進出を活発化する中国への監視を強化する。
同島経済の拡大と人口増加も促し、南西諸島の実効支配をアピールしようという狙いだ。
■<拳銃2丁に守られた島>
与那国島は尖閣諸島の南150キロ、台湾の東110キロにある日本最西端の島だ。
防衛省はここに陸上自衛隊の沿岸警戒部隊を配備し、2015年度までに運用を始める。
レーダーとともに陸上自衛隊の隊員約100人が駐留し、付近を航行する艦船や航空機の動きを監視する。
与那国島に基地を作るのは、日本が進める南西諸島の防衛力強化の一環。
防衛省はほかにも離島の奪還を想定した水陸機動団の新設を決定、4月20日には那覇基地で早期警戒機E2Cの飛行部隊を新たに編成する。
目的は、太平洋への進出をうかがい、東シナ海で動きを活発化させている中国へのけん制だ。
国境に近い最前線に位置しながら、与那国島には3つの集落のうち、中心地の祖納地区と西部の久良部地区に警察官が1人ずつ常駐するだけだった。
島から目視で確認できるほど中国船の存在が日常化しているにもかかわらず、いまだに「拳銃2丁で守られている国境の島」と、町役場に勤める小嶺長典さんは言う。
駐留する自衛隊は監視が主な任務で、高い軍事能力を備えているわけではない。
しかし、この島にレーダーを置けば、
「中国本土に近いところまで照射が届くだろう。
ミサイルの早期警戒ができるし、中国の部隊の動きを補足できる」
と、防衛研究所の元研究員で、拓殖大学の佐藤丙午教授は話す。
仮に中国が台湾に軍事行動を起こした場合にも、北方から南下してくる艦船や航空機の行動を日本はつぶさに把握できる可能性があるという。
■<TPPが経済に打撃>
自衛官の移住で経済を活性化し、過疎化の進行を防ぐのも基地を設置する狙いの一つだ。
「国境の島の人口が減るのは、領土保全の面からよくない。
人が住んでいないと実効支配が及ばなくなる恐れがある」
と、政府関係者は話す。
第2次大戦後の混乱期に台湾との密貿易で栄えた与那国島の人口は、最盛期の1万2000人から1500人まで減少した。現在の主要産業はサトウキビ栽培と子牛の繁殖で、住民の平均所得は220万─230万円と全国平均を60万円ほど下回る。
しかも砂糖と牛肉は貿易自由化で関税が引き下げられ、安い外国産が流入する可能性がある。
「畜産はオーストラリアとのEPA(経済連携協定)で関税が下がった。
これでTPP(環太平洋連携協定)の交渉に砂糖が入れば、もう島は終わる」
と、JAおきなわ与那国の船道哲男さんは言う。
■<島民の賛否は五分五分>
100人程度の自衛隊員が駐留すると、家族を含め150─200人ほどの人口流入が想定されている。住民税などの納税が増えるほか、
「若い隊員が来るので消費行動にも期待している。
新しい店もできるだろう」
と、町役場の小嶺さんは話す。
しかし、すべての島民がもろ手を挙げて基地を歓迎しているわけではない。
基地の誘致を争点とした町長選は賛成派が勝利したものの、票は大きく割れた。
島民への説明会でも反対意見が相次いだという。
「賛成、反対は今も五分五分ぐらい」
と、JAおきなわ与那国の船道さんは言う。
「経済的には来たほうがいいが、基地があることで有事に攻撃を受けると懸念する声もある」
と話す。
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ロイター 2014年 04月 19日 19:03 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYEA3I01520140419
与那国島に自衛隊レーダー基地、中国にらみ空と海の監視強化
●4月19日、防衛省は、日本最西端の沖縄県与那国島で基地建設に着手した。写真は静岡県裾野市の演習場で訓練する自衛隊。昨年7月
[与那国町(沖縄県) 19日 ロイター] -
防衛省は19日、日本最西端の沖縄県与那国島で基地建設に着手した。
1972年の返還以降、沖縄県に自衛隊の基地が新設させるのは初めて。
東シナ海の空と海で中国との緊張が高まる中、これまでよりもさらに西域に監視部隊を置き、南西諸島の防衛を強化する。
防衛省は島の中心地の祖納地区と西部の久部良地区にレーダーを設置。
さらに約100人の沿岸警備部隊と約50人の後方支援部隊を駐留させ、付近を航行する艦船と航空機を監視する。
2015年度末までに運用を開始する。
着工式に出席した小野寺五典防衛相は
「日本最西端の与那国島への沿岸監視部隊の配置は、南西地域の自衛隊の空白を埋めるもの」
とあいさつ。
「この部隊が担う役割や意味はたいへん大きい」
と語った。
これまで自衛隊の基地は、沖縄本島から290キロ西にある宮古島の航空レーダーが最西端。
これは米軍から移管されたものだった。
さらに200キロほど西の与那国島に航空機と船舶の両方を補足できるレーダーを置くことで、監視態勢を強める。
追加で移動式の航空レーダーを置く場所も整備する。
与那国島は尖閣諸島(中国名:釣魚島)から南へ約150キロ、台湾から東へ110キロに浮かぶ人口約1500人の島。国境にありながら、警察官2人が駐在するだけだった。
防衛省は与那国島以外の南西諸島にも基地の新設を検討している。
小野寺防衛相は式典後、記者団に対し
「しっかりと検討し、配置に当たっては地元自治体と話し合うことが大事だと思っている」
と述べた。
安全保障と経済振興の観点から、島はかねてから自衛隊の誘致活動をしてきた。
国境の島の守りを強化する必要があることから、政府は2011年に沿岸監視部隊を置くことを決定。
今年3月に与那国町との間で土地の借用契約を正式に結んだ。
しかし、有事の際に攻撃対象になる恐れがあるなどとして、地元の賛否は今も割れている。式典会場前では、50人ほどの反対派が抗議。小野寺防衛相が乗る車両の進行を阻止しようとする場面もみられた。
1年前に埼玉県から移住してきたという女性は
「もっと話し合う必要がある。
標的になるのが怖いとか、そういう話もさせてくれない」
と語った。
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レコードチャイナ 配信日時:2014年4月20日 20時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=86841&type=0
自衛隊の与那国島基地が着工=中国を怒らせる可能性も―日本
2014年4月19日、参考消息網によると、ロイターは日本が与那国島にレーダー基地建設したことで、中国を怒らせる可能性があると伝えた。
19日、日本最西端の沖縄県与那国島で自衛隊のレーダー基地着工式が行われた。
沖縄県での自衛隊基地建設は、1972年の沖縄返還以来初めてとなる。
自衛隊は中国をにらんだ南西地域シフトを進めているが、その最前線での偵察を担うことになる。
一方、中国は日本の軍拡を批判する姿勢を見せており、今回の基地建設に反発、または怒りを示すことも考えられる。
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自国内のどこにレーダー基地をつくろうとそれは自由だろう。
横槍を入れることは内政干渉になる。
それがミサイル基地となれば安全上話は別だが。
レーダーで航空機をおとせるわけではない。
データ収集のためだろうが、しかし中国にとっては情報が漏れるためにイヤだろうな。
『JB Press 2014.05.08(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40621
効果は絶大、与那国島に配備される海洋防衛部隊
東シナ海に「蓋」をして人民解放軍海軍を牽制
●与那国島、宮古島、沖縄島、奄美大島、種子島に、海洋防衛部隊を配備すると、東シナ海の“蓋”が完成する。赤円は、対艦ミサイル150キロメートル射程圏。
このような東シナ海と南シナ海における中国の露骨な拡張主義的海洋戦略に対抗するために、日本国防当局は東シナ海地域での警戒監視態勢を強化する具体的な動きに入った。
アメリカ海軍や海兵隊関係者とりわけ対中戦略家や東アジア担当者などは、オバマ大統領の東アジア歴訪中の米比新軍事協定署名以上に日本国防当局の積極的な動向に関心を持っている。
■那覇基地で「第603飛行隊」が発足
航空自衛隊は、
★.極めて強力な警戒監視能力を有する「E-767」早期警戒管制機を4機と、
★.E-767よりは控えめな性能ではあるもののアメリカ海軍艦載機として性能には定評がある「E-2C」早期警戒機を13機
保有している。
これらの警戒機のうち、E-767は全て浜松を拠点に運用されているが、
E-767が日本全域に近い空域を監視できる能力を有していることから何ら不思議ではない。
しかし、13機のE-2Cがすべて青森県の三沢基地を拠点に運用されている(いた)状況には、「日本国防当局が南西諸島重視という方針を打ち出しているにもかかわらず、そして現に中国人民解放軍海洋戦力(艦艇・航空機)が南西諸島方面に執拗に繰り出してきているのにもかかわらず、どうして冷戦期のような対ソ警戒配置態勢が維持されているのか?」という疑問が呈されていた。
そして、日本国防当局による目に見える形での実効的な南西諸島方面防衛力強化がなかなかスタートしないため、
「日本政府は南西諸島防衛重視を口にしているが、結局それは口先だけで、米軍基地が沖縄にある限り、アメリカがなんとかすると考えて、国防努力を怠っているのではないのか?」
といった懐疑論も少なくなかった。
その三沢基地の13機の早期警戒機(E-2C)から4機が那覇基地に本拠地を移して「第603飛行隊」が発足することになり、ようやく目に見える形での南西諸島周辺空域での警戒監視活動強化が本腰を入れて動き出した。
これにより、那覇には海上自衛隊の「P-3C」対潜哨戒機部隊と航空自衛隊のE-2C早期警戒機部隊が常駐することとなり、空からの警戒監視活動は確実に強化されることになる。
このような動きに対しては、あまりにも当然の措置であるとともにその効果(対人民解放軍)もさして議論の余地もないほど明らかなため、対中戦略家たちはさしたる関心を示していない。
しかし、時期を同じくしてスタートした与那国島への陸上自衛隊レーダー部隊配備に関する具体的動きについては関心が持たれている。
■“大時代”的な「沿岸監視部隊」という呼称
そもそも与那国島に常駐して周辺海域空域の警戒監視に当たる陸上自衛隊の部隊が「沿岸監視部隊」と呼ばれていること自体 、その内容を知る以前から、軍事関係者たちが興味を惹きつけられる要因のようである。
というのは沿岸監視部隊という呼称は、あたかも20世紀前半までの沿岸防衛態勢を想起させるからである。
●旅順要塞を攻撃する日本軍の28センチ榴弾砲。旅順攻撃で活躍したこの巨砲は、日本各地に設置された沿岸防御要塞に設置された沿岸砲を転用したものであった。
(写真:Wikimedia Commons)
帆走軍艦の時代から第1次世界大戦そして場合によっては第2次世界大戦においても、軍港や戦略要地を敵軍艦による攻撃から防御するために、沿岸海域を防御する海軍部隊とともに、湾口や海峡部それに高地などに砲台陣地を築いて強力な重砲(沿岸砲と呼ばれた大口径で長射程の大砲)を擁する陸上砲兵部隊が配置された。
航空攻撃とりわけ航空母艦が発達するまでは、陸上砲台による沿岸防衛は威力を発揮した。
日露戦争での最大の激戦の1つであった旅順攻略戦などはその典型例である。
日本軍も東京湾、佐世保、長崎、対馬、基隆(台湾)、津軽など日本各地に沿岸砲を備えた要塞を設置していた。
アメリカ軍も日本艦隊の襲撃に備えてシアトルへの入り口にあたる海峡部やサンディエゴ軍港の湾口部に巨砲を備えた沿岸陣地をいくつか構築し、現在も史跡として保存されており、かつて主たる脅威であった戦艦「大和」の説明なども展示されている。
●シアトルに侵入する敵艦を狙う沿岸砲、ウィドビー島キャッシー要塞跡にて。 (写真:筆者)
また、日本人観光客で賑わうハワイのワイキキのシンボルであるダイヤモンドヘッドにも、第1次世界大戦前に沿岸砲要塞が構築され第2次世界大戦後に大砲が撤去されるまで襲来する日本軍艦への備えを固めていた(現在、砲兵部隊監視陣地跡はダイヤモンドヘッド・ハイキングコースとなっている)。
●ダイヤモンドヘッド山頂の旧砲兵陣地監視所跡。 (写真:筆者)
このように沿岸監視部隊という語は“大時代”的なイメージを想起させるために、与那国島への陸自部隊配備は、海軍戦略家にとっては興味を掻き立てられる動きなのである。
■とりあえずはレーダー部隊のみ
ただし、そのような“大時代”的な沿岸砲陣地は、迫りくる敵艦に対する警戒監視だけでなく場合によっては敵艦を撃破することが主たる役割であった。
しかしながら、与那国島への配備作業が開始された沿岸監視部隊は、周辺海域と空域の警戒監視のためのレーダーシステムしか装備せず、“現代の沿岸砲”である各種ミサイルは装備しないことになっている。
また、沿岸監視部隊自身の防御をはじめ与那国島の防衛に不可欠な航空戦力も全く配備されない。
まさにその字面の通りに警戒監視のみの部隊となる予定である。
このような方針に対しては、宮古島や沖縄島に設置されている航空自衛隊の防空レーダーシステムや、上記のように強化が図られることになった上空からの警戒監視能力、それに海上自衛隊軍艦による海からの監視を強化することによって、与那国島に配置される沿岸監視部隊程度の警戒監視能力は十二分にカバーできる、との理由で疑問の声も上がっている。
実際に、レーダー部隊と軽武装の警備部隊だけでは、丸腰に近い形で貴重なレーダー監視システムを与那国島に設置することになるわけであり、中国軍が“目障りな”警戒監視機能を叩き潰す気になれば簡単にミサイル攻撃で沈黙させることが可能である。
また、わずか150名程度の軽武装部隊だけが駐屯しているレーダー基地は、中国人民解放軍特殊部隊によって占領することもそれほど困難ではない。
もちろん、このようなことは承知のうえで日本国防当局が沿岸監視部隊を与那国島に配備させるのは、「極めて日本的な波風を立てずに徐々に目的を実現させるやり方に違いない」と筆者たちは結論づけている。
つまり、
「将来的には沿岸監視部隊に防空ミサイルならびに対艦ミサイル(それにできれば水陸両用能力)を持った部隊を合体させて、周辺海域・空域の警戒監視と侵入艦艇航空機に対する陸からの迎撃を任務とする海洋防衛部隊(仮称)に発展させるに違いない。
ただ、いきなり強力な対艦ミサイルを配備すると、日本国内にも異議を唱える“平和ぼけ”した勢力が多数存在する以上、“とりあえず”警戒監視能力だけの配備からスタートさせようとしているのだろう」
ということである。
■人民解放軍が嫌がる海洋防衛部隊
与那国島にレーダー部隊とミサイル部隊からなる陸上自衛隊海洋防衛部隊を設置することにより、日本最西端の国境の島に自衛隊が陣取っているという“防衛の意思を示す”シンボリックな役割のみならず、中国人民解放軍にとっては直接的な軍事的脅威になる。
すなわち、与那国島からおよそ150キロメートル圏内を通過しようとする中国海軍水上艦艇や貨物船などは、与那国島からの対艦ミサイル攻撃の恐怖に晒されることになるからである。
(陸自が運用する陸上発射型対艦ミサイルシステムは極めて高性能であり、監視システムや誘導システムなどから判断すると、与那国島から150~200キロメートルの範囲内の敵艦にとっては極めて恐ろしい存在となる)
したがって、中国海軍が先島諸島周辺海域での作戦行動を実施するに当たっては、まず与那国島のレーダー装置群と、できればミサイル発射装置を破壊しなければならなくなる。
ただし、そのために与那国島を占領したり、与那国島の陸自部隊を壊滅させたりする必要はなく、レーダーサイトや移動式のレーダー装置やミサイル発射装置そのものを破壊すれば十分である。
そのための各種手段を人民解放軍は十二分に保持してはいるが、大量のミサイルと貴重な時間を与那国島の小規模地上部隊の監視攻撃能力を無力化するために投入しなければならなくなる。
以上の理由により、与那国島に配備される海洋防衛部隊は、中国侵攻軍にとっては厄介な“足かせ”になるのである。
このように効果的な海洋防衛部隊を与那国島だけに配備する手はない。
「もちろん、日本国防当局は百も承知で、これもまた“とりあえず”はシンボリックな与那国島から始めようという、日本的な波風を立てずに徐々に目的を達成させていく戦術に違いない」
と、これまた筆者周辺では納得している。
すなわち、沿岸より150~200キロメートル以内の敵艦に脅威を与える能力を持った海洋防衛部隊を南西諸島の多くの島々に配備すれば、まさに南西諸島は東シナ海の“蓋”となってしまい、それらの海洋防衛部隊の警戒監視能力と攻撃能力を沈黙させてからでないと、中国海軍は大手を振って九州から台湾に至る島嶼線周辺海域での作戦行動はできなくなる。
そのためには極めて大量のミサイル戦力を割かねばならなくなり、人民解放軍にとっては絶対に実現してはほしくない厄介なシナリオとなる。
日本に軍事的脅威を与えている勢力に嫌がられる策を実施していくことこそが国防の真髄である。
Premium Information
北村 淳 Jun Kitamura
戦争平和社会学者。東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。警視庁公安部勤務後、平成元年に北米に渡る。ハワイ大学ならびにブリティッシュ・コロンビア大学で助手・講師等を務め、戦争発生メカニズムの研究によってブリティッシュ・コロンビア大学でPh.D.(政治社会学博士)取得。専攻は戦争&平和社会学・海軍戦略論。米シンクタンクで海軍アドバイザー等を務める。現在サン・ディエゴ在住。著書に『アメリカ海兵隊のドクトリン』(芙蓉書房)、『米軍の見た自衛隊の実力』(宝島社)、『写真で見るトモダチ作戦』(並木書房)、『海兵隊とオスプレイ』(並木書房)、『尖閣を守れない自衛隊』(宝島社)等がある。
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【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】
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