2014年5月8日木曜日

アジアのトラブルメーカー中国(1)::ベトナムと海上で小競り合い、威嚇・放水・体当たり

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2014/05/07 21:02   【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201405/CN2014050701001831.html

南シナ海で中・越船が衝突 石油掘削めぐり、負傷者も


● 7日、南シナ海で、ベトナム船(右)に向けて放水銃を発射する中国船(左)。中央は中国海警局の船(ベトナム沿岸警備隊提供・AP=共同)

【北京共同】中国が南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島近くで行っている石油掘削作業をめぐり、作業を阻止しようとする複数のベトナム艦船と中国船が7日、海上で衝突した。
 AP通信などが伝えた。
 ベトナム当局者によると、ベトナム側の船員数人が負傷した。

 南シナ海をめぐる両国の紛争では過去数年で最も深刻であり、事態がエスカレートする懸念が高まっている。

 APによると、ベトナムは軍艦と武装した警備船など最大約30隻を現場海域に派遣。
 中国側が恒久的な石油掘削施設を現場に建設するのを阻止しようとした。
 ベトナム当局者によると、中国船がベトナム船に意図的に衝突、放水した。



読売新聞 2014年05月08日 06時04分
http://www.yomiuri.co.jp/world/20140508-OYT1T50004.html

中国船、ベトナム船に威嚇・放水・体当たり

 【バンコク=永田和男】
 ベトナム政府は7日、南シナ海のパラセル(西沙)諸島付近で今月2日以降、中国の船舶がベトナムの船舶に意図的な衝突や放水などを繰り返していると緊急記者会見を開いて発表した。

 負傷者も出ているという。

 両国関係は、中国側が今月初め、領有権争いの続く西沙諸島の海域で石油の掘削作業を始めたと発表したことで緊迫しており、対立が激化するのは必至だ。

 ビデオ映像なども交えた発表によると、衝突や放水は2~7日に発生。
 中国船は航空機の支援も受け、ベトナム船1隻に対し2~3隻で接近して威嚇、放水を加えるなどしている。
 3日には中国船がベトナムの巡視船に体当たりして巡視船の窓が割れ、ベトナムの乗員6人が負傷したという。



ウォールストリートジャーナル     2014年 5月 07日 19:37 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304155604579547383797301294.html?mod=JWSJ_EditorsPicks

ベトナムが中国に抗議、南シナ海の石油掘削活動


●中国海洋石油の石油掘削装置981(南シナ海)

 【ハノイ】ベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相は6日、中国の楊潔チ国務委員と電話会談し、ベトナムと中国が互いに領有権を主張する南シナ海の海域に中国が石油掘削装置を搬入し、複数の中国船舶を展開していることに対して抗議した。
 ベトナム政府が同日発表した。

 ミン外相は、中国最大の沖合石油探査会社、中国海洋石油(CNOOC)の行動は国際法に違反し、ベトナムの主権を侵害していると主張。
 ベトナム政府は南シナ海での正当な利益を守るため必要なあらゆる措置を取ると述べた。

 中国海上安全当局は3日、CNOOCが石油掘削装置HD―981を搬入した地点を公表した。
 ベトナム外務省報道官は声明で、CNOOCの操業地点がベトナム沿岸から138マイル(約220キロメートル)しか離れておらず、「完全に排他的経済水域内にある」と述べた。

 これに対し中国外務省報道官は5日、石油掘削装置は中国の水域内にあると主張、
 「中国海上安全当局は981リグについて3日に搬入通知を発行した。
 関連作業は完全に中国の西沙諸島の水域内で行われている」
と述べた。

 米国務省のサキ報道官は6日、中国の行動が「挑発的で地域平和と安定に役に立たない」と主張。
 「関係各国は国際法に基づいて、それぞれの主張を明らかにしたうえで、紛争区域でどのような活動が受け入れられるのか合意すべきだ」
とも述べた。

 ミン外相は楊国務委員との電話会談で、ベトナムが厳重に抗議しており、中国が石油掘削装置と船舶を区域から引き揚げるよう要求。
 ベトナム政府声明によると、ミン外相は両国が問題解決に向けた会合を開くべきだと提案したという。



ロイター 2014年 05月 8日 07:35 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0DN1Q520140507

米国、南シナ海での中国・ベトナム船衝突に懸念表明

[ワシントン 7日 ロイター] -
 米国は7日、南シナ海でのベトナム船と中国船の衝突が伝えられたことを受け、
 「危険で威圧的な行為」に懸念を表明し、当事者に自制を求めた。

 国務省のサキ報道官は7日の定例記者会見で、
 中越が領有権を争う南シナ海の西沙(パラセル)諸島付近に
 中国が石油掘削装置を配置することは、域内の安全保障にとって「挑発的で、無益だ」
との米国の見解を繰り返した。

 「付近での危険な行為や、艦船同志の威圧的な行為に強い懸念」を表明し、
 「当事者に安全で適切な行動と自制を求め、主権問題を平和的に、外交手段で、国際法にのっとって解決するよう要請する」
と述べた。



ウォールストリートジャーナル     2014年 5月 08日 10:42 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304155604579548653417190462.html

高まる中越間の緊張-南シナ海に両国の艦船数十隻が集結


●領有権問題で中国を批判するデモ隊(ハノイ)

 【北京】中国がベトナムと領有権を争っている南シナ海で、巨大な石油リグを据え付ける作業に着手したことを受けた両国艦船の衝突は、歴史的に根の深い問題を抱えた両国の関係の中でも近年まれに見る深刻な事態だ。

 南シナ海での中国の高圧的な姿勢に対し、中国漁船を拿捕し船長らを拘束することで異議申し立てを行っているフィリピンと違い、
 ベトナムは強力な軍事力を持っている。
 むろん、ベトナム海軍は中国海軍に比べるべくもない。
 1974年には、中国海軍はベトナム沖の西沙諸島を奪取した。
 88年には同じく西沙諸島での小競り合いで、ベトナム海軍は数十人の死者を出した。

 だが、ベトナムは手強い敵である。
 フランス軍、その後米軍はベトナムとの戦争で莫大な軍事コストを負担した。
 79年には中越戦争が起こり、中国、ベトナム双方が勝利を宣言し決着が付かずに終わった。

 今回対立のリスクがここまで高まったのは、両国のナショナリズムが高揚しているためもある。
 ベトナム政府は、中国に屈するとみられるようなことはできない。
 現代中国の指導者は、同国が主張するいわゆる九段線内の南シナ海における「明白な主権」を守ることに、自分たちの信頼性を賭けているといっても過言ではない。
 九段線は、中国南部の沿岸からインドシナ半島の北部沿岸までを包含している。

 そうはいっても、ベトナムの対中関係へのアプローチは非常に慎重だ。
 中国との経済的な関係は、ベトナムの繁栄にとって極めて重要だからだ。
 また両国には、ベトナムが中国の属国だった時代からの深い文化的な結び付きがある。
 中国とベトナムは、今や数少ない社会主義体制を維持する兄弟のような国でもある。


●トゥンチャイ島から南シナ海を監視するベトナム海軍の兵士(2013年)

 しかしながら、こうした歴史的なバラスト(重し)は、計算違いが起きた時には全く役に立たない。
 差し迫った危険は数十隻の両国の艦船が、石油リグ周辺の水域に集まり、負傷者が出るような事故が発生したことだ。
 しかも両国間には、緊張の激化を制御する危機管理の手立てがない。
 冷戦時代にはそれがあった。
 ベトナムは今回の衝突で、中国の艦船がベトナムの艦船に体当たりしたと主張している。

 フィリピンの状況はまったく違う。
 同国は、経済的に断固として中国の衛星国に成り下がることに抵抗している数少ない東南アジア諸国の1つである。
 その一因としては、中比の経済関係が貿易ではなくサービスが中心で、両国間の投資も取るに足らないことがある。
 フィリピンは、南シナ海の領有権をめぐり国際海洋法裁判所に仲裁を申し立て、中国の怒りを買っている。

 ベトナムは、フィリピンが裁判に訴えたことについて公には支持を打ち出していない。
 それは、ベトナムの南シナ海での領有権の主張がおそらく国際法で担保されないからなのだろう。
 言い換えれば、海洋法裁でフィリピン寄りの裁定が下された場合には、ベトナムの立場を危うくする恐れがあるということだ。

 だがベトナムもフィリピンも、自国の排他的経済水域内の資源に対する権利を主張しており、九段線を唱える中国と対立している。
 ただフィリピンは、独力では中国の軍事力に対抗できないのは明白だ。
 フィリピンは空軍を持たず、長大な海岸線は無防備状態となっている。
 南シナ海における米国の軍事行動は期待できない。
 米国は中国を挑発する気はなく、フィリピンを含むアジアの同盟国に対しても中国を挑発するようけしかけるつもりもない。

  オバマ米大統領は最近のフィリピン訪問で、米国のフィリピンに対する軍事的支援は「堅固」であると確約した。
 その一方で、南シナ海の領有権紛争で米国がフィリピンを支援するかどうかについてはあいまいにした。

 一方、米国とベトナムとの軍事的間系は好転している。
 ベトナムはベトナム戦争時代のことについてはほとんど恨みを抱いていない。
 だがベトナムは、高圧的な中国に対抗するために、米国に支援を期待してはいるものの、米中との軍事的な関係に関してはバランスをとるよう気をつけている。



テレ朝ニュース  (05/09 05:50)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000026543.html

「ベトナム側が171回衝突してきた」中国が反論

南シナ海の西沙諸島付近の海上で中国船とベトナムの船が衝突した問題で、中国は、ベトナム側が先に170回以上も船をぶつけてきたと反論しました。

  国境海洋事務局・易先良副局長:
 「わずか5日の間にベトナムは35隻の各種の船を派遣し、中国船に171回もぶつかってきた」
  中国外務省は、衝突はベトナム側が引き起こしたもので、中国側はやむを得ず自衛的な行動を取ったと主張しました。
 ベトナム側が公開したビデオについては「撮る角度によって見え方は異なる」と反論しました。
 また、西沙諸島は中国固有の領土だと強調したうえで、中国企業が行っている油田開発は正当で合法であり、今後も掘削を続けていくとしています。
 一方、菅官房長官が中国の掘削作業について
 「一方的で挑発的だ」
と懸念を示したことについて、
 「事実を無視した無責任な発言だ。
 赤ん坊が泣いたらほかの赤ん坊が一斉に泣き出すのと一緒だ」
と皮肉交じりに批判しました。



毎日新聞 2014年05月10日 東京朝刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20140510ddm003030129000c.html

南シナ海衝突 中国、視線の先に米 「アジア重視」に神経とがらせ


●ベトナム側が中国艦船による衝突で損傷したと主張する海洋警察の船=8日、ロイター(ベトナム海洋警察提供)

 南シナ海の西沙(英語名・パラセル)諸島周辺で海底油田掘削装置(オイルリグ)を護衛していた中国海警局の巡視船と、阻止しようとしたベトナム海洋警察の巡視船が衝突した問題は、オバマ米大統領のアジア歴訪直後に発生した。
 中国が海洋権益確保で強硬姿勢を改めて示したことは、オバマ政権が掲げるアジア太平洋地域への「リバランス(再均衡)」政策の本気度を試す形となった。
 一方、沖縄県・尖閣諸島を巡る中国との対立を抱える日本も事態を注視している。
 
◇ベトナム、危機感増幅

 ベトナムは歴史的に中国からたびたび侵攻を受けたことから反中感情が根強く、1979年には戦火を交えた。
 首都ハノイでは今年2月、中越戦争の開戦35年にあたり、領有権問題を巡る中国への抗議デモが行われた。
 国内でデモは厳しく規制されるが、政府は排除せず、事実上容認した。

 こうした事情を抱えつつも、ベトナムは中国との経済・外交関係を重視し、国連海洋法条約に基づき中国を提訴したフィリピンに比べて「抑制的な対応」(外交筋)を取ってきた。
 昨年には李克強首相がベトナムを訪問し、南シナ海での共同資源開発の可能性を検討することで合意してもいる。
 しかし、今回の掘削を中国政府が発表したのは今月3日だった。
 領有権争いのある海域での資源開発に関する突然の発表にベトナム側は猛反発するとともに、
 自国権益への具体的な脅威を強く感じたとみられる。



 では、中国側の事情はどうか。
 オバマ大統領のアジア歴訪が関連するとの指摘もある。
 オバマ大統領は中国の海洋進出をにらみ、尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象であることを米大統領として初めて明言したほか、フィリピンとの間では新たな軍事協定を締結した。
 オバマ大統領は「中国に対抗することでも、封じ込めることでもない」と語るが、中国包囲網を形成しているとの受け止めが中国では広がっている。

 掘削開始は米国への対抗措置との見方に対し、中国国際問題研究所・海洋安全協力センターの趙青海主任は「歴訪へのリアクションとして急に始められるほど作業は単純ではない」と指摘、掘削を行う中国海洋石油の準備が整っただけだと説明する。

 中国の南シナ海での優先課題はあくまでフィリピンの孤立化にある。
 同時期に起きたフィリピンによる中国漁船拿捕(だほ)の報道は盛んだが、
 ベトナムとの衝突は英語版を除けば政府系メディアの報道に限られている。

 だが、リバランス政策と周辺国に与える影響に対し、中国側が神経をとがらせていることは否定できず、今回の問題も延長線に位置づけられそうだ。

 中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)副報道局長は9日の定例会見で、
 「中国が一方的に開発を進めているとの米国の誤った言論が関係国の行動を助長している」
と米国を批判。
 日本に対しても
 「事実を尊重せずに評論するのは火事場泥棒を企てるようなものだが、挑発的な素顔は隠せない」
と反発した。

 一方、米国務省のサキ報道官は8日の記者会見で、
 「紛争海域に自国のオイルリグを持ち込むという一方的な決定をした」
と中国を批判したうえで、双方に挑発的な行動をやめるよう促し続ける考えを示した。

 米国は強い姿勢を示して中国をけん制しつつも、あくまで自制を促し、過度に刺激したり、対立したりするような事態は避けたいというのが本音だ。
 双方に平和的な解決を呼びかけ、中国の出方を見守る構えで、米中間の神経戦が続きそうだ。

 ◇日本、公船へ実力行使困難

 尖閣問題で中国との対立が続く日本。領海への中国海警局の船の侵入は今年に入って計11回に達している。
 領海内で同様のケースが発生した場合、海上保安庁にはどんな対応が可能なのか。
 同庁関係者は
 「仮に相手が他国の政府に所属する公船であれば、実力行使とみなされるどんな行動もできない」
と言い切る。

 民間船舶であれば、日本の法令に基づく対応で放水などの実力行使は可能だ。
 2010年9月、尖閣沖で海保の巡視船に衝突、逃走した中国漁船の船長を公務執行妨害容疑で逮捕。
 12年9月に台湾の漁船団が領海に侵入した際には、放水する漁船に海保側も放水で対抗し、退去を促した。

 一方、巡視船などの公船に対しては国連海洋法条約により法令上の実力行使はできない。
 領海内での「違法行為」を確認しても、領海外に出るよう警告するか、事後に外交ルートを通じて抗議するなどの方法しかない。
 仮に相手が船体をぶつけてきても、実力行使はせず回避するという。

 防衛省によると、海保で対処困難な場合、首相の承認を得て防衛相が海上警備行動を発令し、自衛隊が対処することがある。
 1999年3月の能登半島沖の北朝鮮不審船事件と、04年11月の沖縄近海での中国原潜領海侵犯事件などで発令され、海自の護衛艦や哨戒機などが出動、射撃による警告や追尾を実施した。

 南シナ海の衝突のように海警局が前面に出るケースについて防衛省幹部は「相手が警察力であるなら、自衛隊が出ることは考えられない」と話す。
 自衛隊が出動した場合、相手に軍を出す口実を与えるなど深刻な事態が予想されるからだ。

 岸田文雄外相は9日の記者会見で「中国による一連の一方的かつ挑発的な海洋進出活動の一環だ」と中国を批判した。
 尖閣周辺海域への侵入を繰り返す中国の不当性を国際社会に訴えてきた日本政府は、ASEANと連携し、中国へのけん制を強める構えだ。
 政府筋は、尖閣沖での中国漁船衝突事件で当時の民主党政権が映像公開を一時見送ったことを挙げ、「ベトナムがすぐに映像を出したのはよかった」と指摘。
 中国への批判が国際的に広がるのではとの見方を示した。

 政府は今後、ベトナムやフィリピンに対し、巡視船供与や沿岸警備の人材教育などの支援を強化する方針。
 外務省幹部は
 「日本の近海・領海で類似事案に対処できるよう適切な対応を取っていきたい」
と述べ、尖閣周辺でのトラブルに備え、情報収集を急ぐ考えを示した。




【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】


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