2014年5月14日水曜日

去りゆく韓国、訪れる中国:反日運動のもたらした一断面

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 尖閣問題で火を吹いた中国の「反日」。
 それに便乗した韓国の反日。
 習近平がそれを大々的に宣伝して国民を高揚し、中国内部の問題の目隠しに使った。
 だがその年の暮には行政の怠慢によって痛みを植え付けられた環境から、まず大気汚染問題が突如浮上してきた。
 韓国は反日を国民運動にするというポリシーを掲げた朴槿恵(パク・クネ)が登場した。
 すさまじいほどの高支持率であった。
 それを背景に朴槿の反日はやたらめったらで収まるところを知らなかった。
 この時期、日中、日韓の関係は相互に大きな落ち込みを記録した。

 それから1年少々、一時の激情が去り、冷静に物事を見る時間が戻ってきた。
 旅客船沈没事故という事件をきっかけに韓国の威信は地におち、もはや反日などの利益のないものにうつつを抜かす余裕がなくなってきた。
 国内の腐れ切った状態に政治のメスを入れなければ、ならぬところまできて、対外問題など裏の話題にすぎなくなってきている。
 尖閣は日本の強固な態度にお手上げになり、中国のタガが緩み、それを締め付けるために
★.世界各地の中国大使に誓詞を書かせ、
★.そして解放軍の各管区の司令官にも同様なことをさせねばならぬ
という一般常識では考えられぬ惨めな結果をもたらしてしまった。
 また、中国国民の目は「反日から日本へのあこがれへ」と微妙な変化をしている。
 これまでは決して述べられることのなかった言葉がネットに書き込まれるようになってきた。
 それは
 「オレは日本が好きだ!」
という文言である。
 時を間違えれば日本車のようにひっくり返されて燃やされてしまう言葉である。
 しかし、今この文言が結構人気があって受けている。
 「日本に行きたい」
 「日本で生活した」
などなどである。
 そのため、中国政府は国民の目をそらすために、東シナ海から南シナ海へと徐々に国民感情の向かう先を変える方向で動くようになってきている。
 
 果たしてこの「反日」という動きは、中韓、そして日本にとって損得はどうだったのだろう。
 一断面にすぎないが観光というわかりやすい例をとるなら、小康状態に入ったいま事情が見えてくる。
 激情期は相互に2/3から7割くらいまでに減った。
 これは当然のことであろう。
 韓国は日本人観光客の激減を中国観光客の誘致で切り抜けた。
 日本は当初の中国人観光客の減少分をアジア各地の富裕層を引き込む戦略を立て、それによってほぼトントンで切り抜けた。
 1年ほど経つと、中国韓国の日本観光は元に戻っている。
 しかし、日本人の中国韓国観光は落ち込んだままである。
 大気汚染という問題は嫌中感情以前の問題で、もはや日本には中国都市は観光地としては評価の対象にはなってこない。
 日本人の韓国観光はというとこれは反日の影響で韓流ブームが去り、冷え込んだままである。

日本国内においては韓流は去りつつある。
 ブームはいつか終焉する。
 反日はその終焉の背中を押したということのようである。
 アジアではいま日本を去った韓流が盛り上がってきているので、トータル的には韓国はうまく切り抜けているようである。
 韓流の終焉とともに日本のコリアタウンも一時の勢いを失いつつある。
 
 韓国は反日という国民運動を展開しただけに、今後、日本ではどのようは形で動いていくのであろうか。
 今の韓国の内情をみると、もはや反日にのめり込むほどのエネルギーはないように思える。
 もしそれだけの
 パワーが残っているなら、国内問題に振り向けろ
と言いたいが、見栄張主義を生きがいにしている韓民族にはその忠告は効かないだろう。
 またぞろしばらくすると「反日」が火を吹くことになろう。
 現在、地に落ちてしまった威信を取り戻すには、国民を一つにする旗がいる。
 見渡したところそれは2つある。
①.一つは南北統一。
②.もう一つは反日。
 南北統一は韓国国民に金銭的苦痛を強いる。
 よってこれは無理。
 残るは、やはり「反日」のスローガンしかない
 いつか必ず「反日」は韓国国民意識高揚の合言葉として蘇ってくる。
 苦境にたてばたつほど、このスローガンがドーンと腹に滲みてくる。
 「これしかない」
と。


朝鮮日報 記事入力 : 2014/05/12 11:25
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/05/12/2014051201478.html?ent_rank_news

韓流百貨店破綻、日本で韓流が窮地に
反韓感情-最近の韓日関係悪化で10年続いた「韓流ブーム」下火
高価格・強気のマーケティング-ドラマ1話40万ドル、似たり寄ったりの公演乱発
韓流再編の動き-良質コンテンツで長期勝負を



■韓流百貨店破綻、日本で韓流が窮地に

 東京のコリアン・タウン、新大久保にある「韓流百貨店」がこのほど経営破綻した。
★.韓流スター関連商品・ドラマDVD・韓国製化粧品などを販売していた韓流百貨店は2005年、新大久保にオープンしてから韓流ブームに乗って急成長を果たした。
 しかし、最近は売り上げが急減して経営難に陥っていた。
★.東京・六本木の韓流ミュージカル専用劇場「アミューズ・ミュージカルシアター」もオープンから1年たった今年3月末に閉鎖された。
 興行に失敗したからだ。
★.韓流ドラマも「テレビ東京」を除く地上波局で放送が終わった。

 10年間成長を続けてきた日本の韓流ブームだが、韓日関係の悪化で
 「反韓感情」が高まり「消滅してしまうのではないか」
という懸念すら出てきている。
 韓流ブームの衰退は、ビジネスの論理を無視した価格つり上げや過当競争が一因だとの見方もある。

■あまりにも上がりすぎたコンテンツ価格

 韓流ドラマの価格は2000年代に1話当たり2万ドル(約200万円)水準だったが、韓流ブームがピークに達していた12年に最高40万ドル(約4000万円)まで上昇した。
 しかし、視聴率がそれほど稼げず、高い価格でドラマを輸入した日本のコンテンツ関連会社などは相次いで大きな打撃を受け、今では韓流ドラマの買い付けに消極的だ。

 朝日新聞は
 「韓流ドラマの価格が高騰したことから、日本の放送界は価格が安い中国歴史ドラマの放映を増やしている」
と報道した。
 このため、
 「日本での反中感情は反韓感情に劣らず強いが、それでも中国ドラマの輸入・放映が増えているということは『韓流ドラマが下火になっているのは必ずしも韓日関係の悪化のせいだけではない』ことの証明だ」
という声も上がっている。

■強気のマーケティングと過当競争

 K-POP人気が急速に冷え込んでいる。
 2012年に67万枚以上売れたK-POPのDVD売上枚数は昨年30万枚へと急減した。
 テレビ局が反韓感情を理由に韓国人歌手の出演を規制しているのも問題だが、企画会社の「強気のマーケティング」がK-POPの裾野を狭くしたとの見方もある。

 ある専門家は
 「K-POPブームに便乗した複数の企画会社が重複出演や似たり寄ったりの公演企画を乱発して観客動員が減っても、逆にチケット価格をつり上げて収益を残すというやり方でマーケティングの基盤を自ら狭くしていった」
と話す。
 チケット価格をつり上げても熱心な固定ファンは必ず来ると踏んでいたからだ。
 一部の韓流スターはファンミーティング参加費を過度に高く設定、ファンから苦情が出ていた。

 新大久保の韓流百貨店経営破綻も、同様の店が「雨後のたけのこ」式に乱立した結果だといわれている。
 新大久保は韓流関連の店が急増し、家賃や権利金が高騰したが、新たな顧客の獲得に失敗してサバイバル競争が繰り広げられている。

■韓流再編の動き

 韓国コンテンツ振興院日本事務所のキム・ヨンドク所長は
 「以前は韓国企業がドラマ・CDを輸出すれば、日本国内の興行いかんに関係なく収益を上げていたが、最近では日本企業と合弁会社を設立し、収益・損失を共有する構造のビジネスモデルが変わろうとしている」
と言った。

 日本人のハートをつかむコンテンツは反韓感情が吹き荒れるさなかでも好調だ。
  NHKは韓流ドラマの放映をこのほど終了したが、衛星放送で人気が高かった『太陽を抱く月』を総合テレビで7月にスタートさせることにした。
 これは視聴者の要望に応えたものだ。
 キム・ヨンドク所長は
 「日本で正式デビューしていない『EXO』というアイドルグループは先日の公演で10万人を動員した。
 良質のコンテンツや長期的な視点のマーケティングをすれば、韓流は再びブームになるだろう」
と語った。


 さて、中国はどうか。
 中国は様々な問題を抱えている。
 外交的にはほとんど素人芸に近い。
 ためにあちこちで衝突を繰り返す。
 外交というのは対等に渡り合うことで成り立つ。
 中国の外交は相手を臣下と見下す外交である。
 中国に異を唱えるものを南蛮東夷(西戎、北狄)と蔑む外交である。
 これでは、ぶつかってしまう。


JB Press 2014.05.13(火)  姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40661

安心と安全を求めて日本にやってくる中国人旅行客
中国人であることのリスクが高まっている

 中国大陸からの訪日客が増えている。
 2014年3月は個人旅行や団体旅行で18万4200人の中国人が日本を訪れた。
 前年同月比で「80.1%」の増加である。
 日本政府観光局(JNTO)は、訪日旅行客数を押し上げた3大要因として、
1].「桜の時期を狙った効果的なプロモーション」
2].「上海発のクルーズの増加」
3].「円安傾向によるショッピングの割安感」
を挙げた。

 だが、中国人が日本を選ぶ要因はこれだけではなかったようだ。
 4月下旬、北京から東京を訪れた1組の夫婦がいた。
 彼らは無類の日本ファンである。
 日本がらみのビジネスも抱えており、公私にわたり毎年日本を訪れることを楽しみにしている。
 この夫婦が今回の訪日中国人客の増加についてこう語った。

 「今、日本に旅行する中国人がどんどん増えています。
 逆に言えば、日本しか行くところがないんです。
 マレーシアは航空機が失踪、
 韓国も船が沈没して印象が悪い。
 タイはデモで政情が不安定、フ
 ィリピンは領土問題がこじれているし、
 台湾は学生が立法院を占拠して大陸への感情が悪化している。
 今、中国人がアジアを旅行しようとしたら行先は日本しかないんです

 日本と中国は尖閣諸島問題で緊張が高まっているが、
 日本人は中国人旅行者を温かく歓待する。
 それが、中国からの訪日客が増加する一因ともなっている。

 同時にそれは、中国人を取り巻くアジアの環境が変化してきていることの表れとも言える。
 アジアでは今、中国人が巻き込まれる物騒な事件が相次いでいるのだ。

■拉致される中国人

 中国とフィリピンは南沙諸島(スプラトリー諸島)の領有権をめぐり対立を激化させている。
 5月6日、その南沙諸島のハーフムーンショール(半月礁)付近で中国船1隻が拿捕された。
 フィリピン当局は「船上に500を超えるウミガメを発見した」とし、同国の「野生動物保護法」に違反した疑いで船を拿捕し、乗組員11人の身柄を拘束した。

 また、同じ日にフィリピンの空港で、中国人女性がフィリピンの空港で殴られる事件が発生した。
 中国紙環球時報は次のように伝えている。

 この中国人女性は5月4日にマニラのニノイ・アキノ国際空港に到着した。
 入国審査の際、複数の入国歴がありビザ延長のスタンプが多数押されていたことから、不法就労を疑われた。
 女性は「フィリピンで就労したことはあるが、今回は観光目的だ」と反論。
 だが、無理やり強制送還者用の待合室に連行された。
 その後、この部屋を出ようとしたところフィリピン人職員に足で踏みつけられるなどした。
 さらに取っ組み合いのけんかにまで発展したという。

 事件はまだまだ続く。
 5月6日、マレーシアのサバ州では、東海岸ラハダトゥ近郊の養魚場に勤務する中国人が、武装集団に誘拐される事件が発生した。

 また、同州では2014年4月、洋上のリゾートホテルに宿泊していた中国人観光客の女性とフィリピン人従業員の女性が、銃で武装した集団によって拉致されている。
 この事件は単に「中国人だけを狙った」ものではなさそうだ。
 しかし、この拉致事件によって、中国人はマレーシアに対する印象をますます悪化させている。

 今年3月、北京行きのマレーシア航空機が消息を絶ったが、乗客の大半を占める中国人の家族からは「情報公開の不十分さ」に大きな不満の声が上がった。
 そんな中での拉致事件の発生は、中国とマレーシアの間の溝をさらに広げる格好となった。

 北朝鮮当局に船員の身柄を拘束された漁船もあった。
 2012年5月のことである。
 29人の中国人が中国の主張する海域で漁をしていたところ、北朝鮮当局により拘束され、漁船にあった物資などすべてを略奪された。
 その上、殴る蹴るなどの暴行も加えられた。

 アフリカでも中国人の拉致事件が起きている。
 5月2日には、スーダンのダルフール地区で反政府武装勢力により中国人技師2人が拉致されるという事件があった。

■国内では漢民族が標的に

 中国国内も決して安全な場所ではない。1
 3億を超える中国人の9割以上は漢民族である(全世界の人口の5分の1を占める)。
 だが、国内には彼らに激しい恨みを抱く勢力が存在する。
 少数民族のウイグル族から見ると、漢民族は資源の略奪者であり、富の支配者である。
 漢民族への反目は清朝の時代から連綿と続いている。

 今年3月1日、中国雲南省昆明市の昆明駅で発生した無差別殺傷事件は、13億人の漢民族を震撼させた。
 4月30日にはさらにそれが飛び火し、新疆ウイグル自治区ウルムチで爆発事件が発生。
 そして5月6日には広東省広州市の通行人切りつけ事件へと発展した。

 昆明駅での事件発生は、新疆ウイグル自治区以外での初めての大規模な殺傷事件となった。
 広東省の工場で、デマを発端にウイグル族が漢民族に襲撃され多数が殺傷された2009年の「ウイグル騒乱」に次ぐ暴力事件である。

 当時、中国の専門家は、新疆から離れた雲南省でテロ事件が起こった理由について、
 「昆明はベトナムと国境を接している。
 国境地帯は山岳地帯であり、警備もゆるく逃げやすい」
ことなどを挙げていた。

 しかし、いまや「警備にぬかりのないはず」の広州という大都市でも事件が発生している。
 上海市静安区でも、市民は迷彩色の武装警察が街頭に立つ様子を見ながら
 「上海でも何が起きるか分からない」
と警戒を強めている。

 中国社会では「東突分子」という言葉を耳にするようになった。
 東突分子とは東トルキスタン民族分裂分子」の略語である
 新疆ウイグル自治区の住民は、自分たちが住む地域を東トルキスタンと呼ぶ。


●ウイグルの料理を出す屋台。上海にもウイグル文化が浸透している(筆者撮影)

 ウイグル族は清の時代にも中国領からの独立を試み、たびたび清朝と衝突した。
 独立を求める動きは現代においても存在する。
 特にソ連の解体と中央アジア諸国の独立をきっかけに、もともと分散していた独立運動の勢力を統一する動きが始まり、強い団結が見られるようになった。

 また、92年にはイスタンブールで東トルキスタン民族代表会議が行われ、中央アジア、アメリカ、オーストラリア、パキスタン、ドイツ、サウジアラビア、トルコなど30カ国から組織のトップが集まった。
 中国の東突分子にはサウジアラビアやトルコが支援を行っており、国外での軍事訓練も組織的に行っているという。

 今後はターミナル駅や飛行場、人の集まる繁華街は厳重な警備態勢が敷かれるものと見られる。
 前回も述べたが、いつ起こるか分からないテロの恐怖は、安定的に発展してきた国際都市上海にも、いまだかつてない緊張感を与えている。

■日本は「最もほっとできる場所」?

 このように、いまや国内においても国外においても、中国人は常に身の危険を感じ、緊張を強いられる状態にある。
 だが、国家間においては複雑な問題を抱えながらも、日本人はなおも、彼らを拉致するどころか歓迎し、もてなしてくれる。
 いま、日本は最も安堵感を与えてくれる旅先であり、皮肉にも「最もほっとできる場所」になっているのかもしれない。

 この半年の間に国内外で起きた様々な事件は、中国人に安心、安全、平和とは何かを再考する機会を与えていることだろう。
 同時に一部の中国人は、日本がいかに安心、安全、平和を高度に実現している国家であるかを痛切に思い知らされているに違いない。
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姫田 小夏 Konatsu Himeda
中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。大学卒業後、出版社勤務等を経て97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、東京で「ローアングルの中国ビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」を主宰。現在、中国で修士課程に在籍する傍ら、「上海の都市、ひと、こころ」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)。目下、30年前に奈良毅東京外国語大学名誉教授に師事したベンガル語(バングラデシュの公用語)を鋭意復習中。




【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】



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