さてこれから、中国は
1].南シナ海での行動の活発化
2].様々な形でのベトナムの経済的締め上げ
3].大音量でのベトナム非難
を行っていくだろう。
原則的にそれは「ベトナムが降参」するまで続けられる。
しかし、ベトナムに
『負けられません勝つまでは』
と居直をられてはチーと]困る。
ベトナムは中国のとって数すくない「中国寄りの国」である。
「脅かしつつ頭を撫ぜる」
という芸当が必要になる。
この芸当は共産党は本来得意なワザだが、大中華を掲げたいまは慢心しているためなかなか使いにくいかもしれない。
タイミングをみながら、
ベトナムを適度に追い込んでいくが、究極の追い込みはしない、
つまり「窮鼠猫を噛む」ような状況が発生することは避けるだろう。
いまの中国にそんな小技が使えるかどうか、ということになる。
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年5月19日 11時55分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=88294&type=0
ベトナムの反中デモ、中国外交部「両国の交流をしばらく中止」
=国民に渡航しないよう呼びかけ―中国
●18日、南シナ海問題をめぐりベトナムで発生した反中デモに関して、中国外交部の洪磊報道官は「両国の交流をしばらく中止する」と発言した。写真はベトナムの反中デモ。
2014年5月18日、南シナ海問題をめぐりベトナムで発生した反中デモに関して、中国外交部の洪磊(ホン・レイ)報道官は
「両国の交流をしばらく中止する」
と発言した。
中国外交部公式サイトが伝えた。
洪報道官は、
「今月13日以降、ベトナム各地で外資系企業への破壊行為が発生。
中国国民の命が奪われ、財産が破壊されるなど、中越の交流と協力に悪影響を与えた。
中国側は現状を考慮し、ベトナム観光の安全レベルを“しばらく渡航を控える”に調整し、双方の交流をしばらく中止する。
中国側は事態の発展に注視し、今後の対策を検討する」
と語った。
』
『
サーチナニュース 2014-05-19 10:27
http://news.searchina.net/id/1532653
中国人がベトナムから大量引き上げ、公安相は「懲罰」要求=反中暴動
中国政府は、中国企業などへの襲撃が相次いだベトナムから、自国民の引き上げを進めている。
18日にはベトナムに向けた船舶を出港させた。
計4隻の船を派遣し、19日には労働者など4000人を引き揚げさせるという。
その他、自国民引き上げのために航空機のチャーターも行う。
中国政府・公安部の郭声〓部長(国務委員)は17日、ベトナムのチャン・ダイ・クアン公安相と電話で会談し、あらゆる暴力活動の徹底した抑止と、破壊や略奪を行った不法分子に対しての「厳しい懲罰」を要求した。
(〓は王へんに昆) 中国から18日に出港した船舶4隻はいずれも1万トン前後で、1隻あたり1000人を乗り組ませることができる。
中国政府はさらに1隻を予備のために手配した。
中国政府が手配した航空機も、けが人などを乗せて18日に中国に戻った。
重傷者が16人おり、医師を乗り込ませで機内でも治療したという。
郭公安部長はチャン公安相に対して、
「ベトナムで発生した外国投資者と企業に対する破壊、放火、略奪のはなはだしい暴力事件は、台湾と香港を含む一部の中国企業と人員に深刻な被害をもたらし、死傷者も出た。
極めて悪列な性質であり、その結果は非常に重い。
ベトナム側には、不法分子が中国側企業と人員に暴力による襲撃を行ったことに、まぬがれることのできない責任がある」
と、厳しく非難した。
郭公安部長はさらに
「中国公安部は以上述べた暴力活動について、強く驚き憤慨した。
ベトナム側が、時をおかず阻止のための有効な措置を講じるこがなかったことに対し、強烈な不満を持ち、厳重に抗議する」
と述べた。
チャン公安相は
「事件発生後、ベトナム政府と警察は友好な措置を講じた。
現在はすでに、大量の警察官が事態の発展を抑制している。
すでに多くの暴力犯罪分子を逮捕し、調査、起訴、処理などを進めている」
などと説明した。
**********
◆解説◆
国外で戦争、内戦、災害などが発生して滞在する自国民が危険にさらされた場合、中国政府が実施する「保護と引き上げ」の動きは、かなり徹底している。
海路、空路、陸路などあらゆる方法を使い、自国民を一気に引き上げさせることも、珍しくない。
多くの中国人は、滞在者引き上げなどについての自国政府の方針を評価していると考えてよい。
災害や大事故が発生した際の「危機管理」は、
当初の対応を誤った場合、国内で批判が高まり、改めて「政治的危機」をもたらす場合がある。
中国政府の場合、国外で発生した自国民を巻き込む突発事態の発生については、「危機管理能力」がかなり高いと評価できる。
共産党による中国の現政権は、“正統性”の最大の根拠を、
「外国に踏みにじられたかつての中国を、『真に独立した国家』に立て直したこと」
に置いている。
かつての中国にとっての最後にして最大の加害者は「日本軍国主義」としているが、
それ以外に、英国、ロシア、フランスなど19世紀ごろからの列強すべてが「中国をいじめた」との認識だ。
米国についても、国民党と結託して共産党の「祖国解放」を大きく妨害、朝鮮戦争での加害者(現在では、北朝鮮側が開戦したとの見方が国際的な常識)、
長期に渡り中国敵対策を取り続けたなど、中国に害を与え続けたとの認識だ。
また、かつては国外にいる中国人も
「祖国の力が弱いため、悲惨な状況だった」
との見方だ。
現在については、
「強い中国が実現した。
海外の自国民に大きな困難が生じた場合、祖国はできるかぎりの救援をする能力がある」
との立場だ。
そのため、国外で自国民が危険にさらされた場合に見せる大規模な動きは、
「政権の正統性主張に直結している」
と考えてよい。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年5月19日 13時2分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=88279&type=0
韓国人ネットユーザー「中国はたち悪すぎ、ベトナムに勝てっこない」
=南シナ海の中越衝突―中国メディア
2014年5月17日、中国の軍事専門サイト・西陸網は、
「韓国人:中国はたちが悪い、ベトナムとの戦いには勝てっこない」
と題し、韓国のネットユーザーの声を紹介した。
以下はその内容。
中国はそもそも身勝手だ。
国力が増したからといって、このように周辺国を刺激すれば、結局自ら痛手を負うことになるだろう。
今後、米国と争えば、中国のイメージが良くなることはない。
このように周辺国を刺激していては、国の利益にメリットはない。
今は威張り散らすときではない。
中国がこのようだから、中国脅威論が勢いを増しているのだ。
国力が増せば、その分、謙虚にならなければならない。
周辺国を安心させれば、結果として、自国の利益となる。
中国が米国に学ぶべき点はたくさんある。
米国がいかにして世界の覇権を握ったかを理解していないようだ。
親北朝鮮派の人たちは、ベトナムこそ「発展のための模範だ」と考えてきた。
反米闘争で米国を破り、共産統一を成し遂げた。
ベトナムを模範とみなす人たちは、今でも孤軍奮闘している。
一方、当のベトナムは、韓国に憧れ、韓国を好んでいるというのに。
中国はベトナムとの戦いに勝利することはできないだろう。
米国も最後には失敗した。
どちらか一方を支持してはいけない。
中立的態度を保つべきだ。
中国人はたちが悪い。
他国の領土で他国の石油を採掘しようなどと悪事を企んでいる。
自分はベトナムを支持する。
石油の共同開発権を勝ち取ることは国家の利益に寄与する正しい行為だ。
親中事大主義の民主党、全羅道左派、華僑、朝鮮族、留学生。
この報道を目にしたくはないだろう。
親北朝鮮派がイメージする「模範」ベトナム。
』
『
ウォールストリートジャーナル 2014 年 5 月 20 日 10:02 JST
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303923004579572740841698308?mod=WSJJP_hpp_LEFTTopStoriesFirst
手詰まりのズン・ベトナム首相―中国の石油掘削問題で
●ベトナムのグエン・タン・ズン首相 Agence France-Presse/Getty Images
ベトナムのグエン・タン・ズン首相(64)は2007年には得意満面だった。
同国は世界貿易機関(WTO)に加盟し、経済はばく進中で、カリスマ性の高い同首相は、ホー・チ・ミン以来の強力な決断力のある指導者とみられていた。
しかし現在、ズン氏への支持が弱まる中で、かつてない試練に国を挙げて立ち向かわざるを得なくなっている。
試練とは、ベトナムが領有権を主張する南シナ海水域で中国が石油掘削に乗り出し、それを受けて反中デモが起き、ベトナムの工業団地数カ所で中国系などの外資系企業の工場が暴動に見舞われたことである。
ベトナム政府当局者は、被害を受けた外資系企業の工場はほぼすべて通常操業に戻ったと表明したが、中国国営新華社通信によれば、中国政府は、3000人以上のベトナム在住中国人を帰国させるため航空機や船舶をチャーターした。
ベトナムにとって問題なのは、中国が経済的にも軍事的にもベトナムよりもはるかに強大なことだ。
オーストラリア国防大学元教授のカーライル・セイヤー氏は、
「中国は、ベトナムが抵抗は無駄だと認識するまで強引な行動を続けるだろう」
と予想する。
ただ、同氏を始めとするアナリストらは、話はそれだけではないと分析する。
ベトナムは、ズン首相の下で経済が失速したことから、集団指導体制に戻りつつあるが、それが中国の圧力へのベトナムの対応を難しくしている。
香港シティ大学のジョナサン・ロンドン教授は、
「はっきり言えば、ベトナムの指導部は窮地に陥っている」
と言う。
ズン首相は、ベトナム戦争時、少年兵として南ベトナム解放民族戦線に加わった後、ベトナム共産党の若き指導者となり、2006年に改革派として首相に就任した。
WTO加盟を実現し、米国との外交関係の強化に努めた。
米軍との共同演習も同首相の下で拡大した。
しかしその一方で、反対派を弾圧するとともに、国有企業の新規事業への参入を奨励し、そのため多くの国有企業が巨額の債務を抱える事態に陥った。
インフレは一時28%に達し、数次にわたる金利引き上げにより成長率は1990年代終わり以来の最低水準に落ち込んだ。
ズン首相は批判を浴び、2012年、かろうじて首相の座は維持したもののの権限を削がれ、共産党中央委員会が権力を掌握した。
それによってベトナム経済は安定化しサムスン電子など韓国企業を中心とする新たな投資の波が生まれた。
ズン首相は現在、チュオン・タン・サン国家主席、グエン・フー・チョン共産党書記長、グエン・シン・フン国会議長との集団指導体制で国家運営に当たっている。
アナリストによれば、共産党政治局がズン首相の経済開放策に慎重論をとなえ、大きな障害となっている。
加えて、ベトナム指導部は保守的で対中政策では自制的とみられていると、ロンドン教授は指摘する。
中国の石油掘削問題では、ズン首相は先に開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、領有権侵害として取り上げ国際問題化し、米国は中国の行動を挑発的と非難した。
だがその一方、ベトナム政府は国内的にはより慎重な対応をみせている。
これは、共産党内の意見対立を反映した面もあるが、同時に中国からさらなる反発を買うのを避け、暴動が拡大する危険を抑えるためだ。
18日には、ハノイ、ホーチミンの両市に多数の治安警察が配置され反中デモは解散させられた。
セイヤー氏は、
「ベトナムはすぐにデモを抑え込まなければならないことを理解した」
とする一方、
「しかし現在ベトナムには、緊張が緩和し、中国の石油掘削施設が8月半ばには撤去されるのを期待すること以外に、できることはそれほどあるわけではない」
と話す。
中国は、試掘作業は8月15日に終了すると表明している。
セイヤー氏によれば、ズン首相らベトナム指導部は、意見の相違はあるものの、手詰まり状態を打開するには外交的努力を倍加し、より幅広い南シナ海の帰属権問題に取り組むほか
事実上選択肢はない。
しかし、少なくとも今のところ
中国にはそれに応じる気持ちがなく、中国はそのメッセージをベトナムだけでなく、南シナ海で領有権を主張しているフィリピンなどにも送っているという。
「中国は、この問題で米国はベトナムを助けに来ないと言ってベトナムを孤立化させようとしている」
と、セイヤー氏は述べた。
』
『
サーチナニュース 2014-05-20 13:25
http://news.searchina.net/id/1532817
中国政府・国防部の常万全部長(国防相)は19日、東南アジア諸国連合(ASEAN)国防相会議に出席するために訪れたミャンマーの首都、ヤンゴンで、ベトナムのフン・クアン・タイン国防相と会談し、南シナ海のパラセル諸島(中国名は西沙群島)を巡る対立や、ベトナム国内で発生した中国企業・中国人襲撃についてベトナムを批判し「過ちを繰り返して、大きな過ちにしてはならない」などと述べた。
新華社、中国新聞社などが報じた。
常部長は
「ある時期以来、ベトナムは中国が西沙諸島で行っている正常で、合法的な(資源探査などの)削岩作業を妨害し、破壊している。
特に問題なのは最近になりベトナム国内で発生した中国企業や中国人に対する破壊、放火などの深刻な暴力事件だ。
われわれはこれらに反対し、断固として、強烈に非難する」
と述べた。
常部長は中国の従来からの主張である
「西沙海域で正当な作業をするのはわれわれの権利だ。
何者もさえぎることはできない」
を繰り返し、
「ベトナムは歴史を尊重し、現実を正視し、中越の友好という大局から出発するべきだ。
過ちを繰り返して、大きな過ちにしてはならない」
と述べた。
フン国防相は
「ベトナム共産党、政府、そして軍は中国との団結と友誼を非常に重視し、発展させている。
ベトナム軍は局面を複雑にする挙動をとることはない。
中国側と関係する問題について意思疎通を保ちたいと考えている」
と述べた。
**********
◆解説◆
常部長が「ベトナムが尊重すべき」と論じた「歴史」が具体的に何を指すかは、伝えられていない。
パラセル諸島に関連しては、中国が同諸島西半分を実効支配していた“ベトナム軍”を中国が攻撃し、駆逐した歴史がある。
同諸島は1930年代に、ベトナムを植民地支配していたフランスが実効支配を始めた。
フランスは1954年にベトナムから撤退。その後は、ベトナム共和国(南ベトナム)が西半分、1956年からは中華人民共和国が東半分を占拠した。
南ベトナムは1970年代になると、ベトナム戦争で敗色が濃厚になり、パラセル諸島の防衛も困難になった。
中国が1974年に南ベトナムが実効支配していた島に漁船を送り込んだことがきっかけで、双方の軍が衝突。
本格的な海戦も発生し、敗北した南ベトナムは同諸島から撤退した。
中国はベトナム戦争時、北ベトナムを強く支援していた。
戦争は北側が勝利し、ベトナムを統一した。
しかしその後、中国とベトナムの関係は急速に険悪化。
ベトナムが、中国が支援していたポル・ポト政権(クメール・ルージュ)下のカンボジアに侵攻し、同政権を崩壊させ親ベトナムのヘン・サムリン政権を誕生させるなどで、中国は「懲罰」として1979年、陸上兵力約60万人でベトナムに侵攻した(中越戦争)。
ベトナム軍主力はカンボジア方面に出払っており、中越国境には約3万人の正規兵と民兵しかいなかったが、ベトナム戦争などの経験が豊かで、大量のソ連製、中国製の武器弾薬もあった。
緒戦では優勢だった中国軍には多大な損害が出はじめた。
カンボジア方面から引き返したベトナム軍主力が戦場に近づくと、中国軍は撤退した。
ベトナムは中国に対して同戦争は中国側の侵略だったとして謝罪を求め続けたが、中国は応じなかった。
中国の江沢民主席は2002年にベトナムを訪問した際、同戦争の問題で
「過去のことは忘れよう。未来志向で関係を築こう」
などと言い、ベトナムの教科書が同戦争を大きくとりあげていることを批判し修正を求めた。
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常万全、フン・クアン・タインの中越両国国防相の会談を伝える中国の記事では、 常国防相の発言の紹介の方がきわめて多い。
中国で、自国と外国の首脳の会談を紹介する報道では、記事の大部分が自国首脳側の発言であることが多い。
特に双方が対立している状況における会談では、自国側が認めていない相手の主張は「割愛」される場合が多い。
そのため、自国側が相手を「やり込めている」ような印象の記事になることが一般的だ。
常識的には、常万全、フン・クアン・タインの両国防相が領土問題については、それぞれ自国の立場を述べたと考えられる。
その場で双方が歩み寄って合意することは考えられないので、立場を述べ合った上で、「両国関係の重視」など、互いに受けいられる主張をしたと考えるのが自然だ。
領土問題を巡る中越の対立が一挙に緩和するとは考えにくいが、国防相会談が実現したこと自体は、事態をこれ以上紛糾させたくない双方の思惑を反映したものと考えてよい。
』
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