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2014.03.27(木) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40291
ニューエコノミーを目指す中国の奮闘政府が計画する大改革は成し遂げられるのか?
(2014年3月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国経済はこれからどうなるのか?
今やこれ以上に重要な経済問題はほとんどあるまい。
筆者はつい先日、北京で開かれた中国開発フォーラムに参加した。
これは西側諸国の財界人や学者、そして中国の政府高官や学者が一堂に会するイベントで、参加者はみな上記の問いを強く意識していた。
中国国外では、この大国があの高度成長を維持できるのかという悲観論が強まっている。
●.過大な生産能力、
●.過大な投資、そして
●.過大な債務
が特に懸念されている。
今よりも緩やかでバランスの取れた経済成長に移行することは、中国が既に満たした基準に照らしても極めて困難だという見方については、筆者もその通りだと思う。
■中国政策立案者は成功してきたが、最上の名馬でも失敗する可能性
しかし、中国の政策立案者は成功しないという予想は、これまでずっと外れている。
駿馬(しゅんめ)が新たな障害に挑む時には、これを乗り越える可能性の方が高いに違いない。
しかし、最上の名馬でも失敗する可能性はある。
中国共産党の中央財経領導小組弁公室の楊偉民副主任は、非常に貴重な背景説明資料の中で、中国が新たに打ち出した「改革の全面的な深化のための指針」を解説してくれた。
ここには新しい状況がいくつか記述されている。
●中国は今、中所得国の上位に位置し、先進国になるという、あまり達成されたことのない目標に挑んでいる(写真は上海の街並み)〔AFPBB News〕
★.第1に、中国は国民1人当たりの国内総生産(GDP)が6700ドルという、中所得国の上位に位置する国である。
現在は、先進国になるという、あまり達成されたことのない目標に挑んでいる。
★.第2に、国外の環境は以前に比べると芳しくない。
高所得国の経済が構造的に非常に弱いこと、中国経済の規模が他の国々に比べて非常に大きくなったことなどがその理由だ。
★.第3に、中国経済自体も変化した。
まず、労働力が縮小傾向にあることなどから潜在成長率は7~8%に低下している。
生産能力は、中国の基準に照らしてみてもかなり過大になっている。
地方政府の過大な借り入れ、住宅バブル、そしてシャドーバンキング(影の銀行)の拡大のせいで金融リスクも高まっている。
都市化率は50%を超えたが、中国の都市は大気汚染など様々な問題に苦しんでいる。
そして、
資源集約的な経済成長のパターンは限界に――特に直接輸出入することができない水の面で――達しつつある。
■政府の描く青写真
昨年11月に合意された
「改革の全面的な深化における若干の重要問題に関する中共中央の決定」
は、こうした問題への対応にほかならない。
この「決定」は、次の段階の改革の青写真だ。
「行政による命令的な統治」から「法による統治」への移行など重大な制度・政治改革が提案されていることに目を見張らされる。
また、資源配分においては市場が「決定的な」役割を果たすと謳われている。
そのため政府は「マクロ経済の規制、市場の規制、公共サービス、社会管理、環境保護」を担当するという。
西側諸国の人ならいずれの改革も認めるだろう。
この青写真からは、国有企業の役割が変化することが読み取れる。
また、新規参入企業に示されるリストが、ポジティブリストからネガティブリストに変わることも読み取れる。
原則禁止だが認可を得ればできるという方式から、禁じられたこと以外は原則自由に行えるという方式に変わるということだ。
これは革命的な変化かもしれない。
さらに、戸籍制度改革が提案されていることも重要だ。
実行されれば、農村から都市に移った1億人の人々が恒久的な都市住民になることが可能になるだろう。
大半の部外者にとって、公的な宣言文書の言葉遣いは退屈きわまりない代物だ。
しかし、筆者は李克強首相や張高麗副首相の話を聞いて、少なくともその分析においては説得力があると感じた。
目の前の困難に対して抜本的な施策を講じる必要があることを、彼らは明らかに認識している。
また、彼らがやりたいと思っていることは、経済問題にしても環境問題にしても理にかなっている。
現在はエール大学に籍を置くスティーブン・ローチ氏による中期的な経済見通しの資料とプレゼンテーションによれば、中国はこれまでにも、資源集約的な経済成長から雇用集約的な経済成長への緩やかな移行を進めてきている。
GDPにおけるサービスセクターの比率は、他のほぼすべての国々よりも大幅に小さいものの、2013年には史上初めて工業セクターのそれを上回った。
また2008年以前は、GDPが1%成長しても都市部の雇用の増加幅は100万人に及ばなかったが、2008年以降は平均で140万人分の雇用が生み出されている。
インフレはしっかり制御されており、経済成長率が低下したにもかかわらず企業収益は持ち堪えている。
総じて言えば中国経済は、労働力を含む手つかずの資源をこれまでのように利用できなくなったことによる経済成長の避けがたい鈍化に、実にスムーズに適応しているように見える。
■極めてバランスの悪い経済が抱えるリスク
しかし、中国は非常にバランスの悪い経済でもある。
特に目を引くのは、
★.GDPにおける消費(官民合計)の割合が極めて低く、
★.逆に投資の割合が極めて高いことだ(どちらもGDPの半分近くを占めている)。
昨年はやや低下したとはいえ、
投資の割合は今世紀に入ってからほぼ休むことなくハイペースで伸び続けてきた。
現在の中国のGDPにおける個人消費の割合は約35%で、米国のそれのざっと半分にとどまる。
これまでは、極めて高いシェアを握る投資が経済成長を牽引してきたわけだが、これは余剰生産能力の増大や借り入れの膨張にも直接関係している。
ローチ氏の中期的な経済見通しの資料が示している通り、中国経済のパフォーマンスを脅かす顕著なリスクは、
①.金融パニック、
②.崩壊しつつある不動産バブル、
③.地方政府が抱える巨額の債務、
④.そして余剰生産能力
による互いに関連し合うリスクである。
何かが急激に調整されれば、その影響が他にも及んで正のフィードバックが生じ、予想をはるかに超える景気減速に至る恐れがある。
●中国経済は巨大なため、輸出で余剰生産設備を解消することができない(写真は多くのコンテナが積まれた山東省青島の港)〔AFPBB News〕
多くの重要な産業では、既に生産量が生産能力の75%相当の水準を割り込んでいる。
しかし、中国経済は巨大であるため、この余力を輸出で解消することができない。
例えば、中国の粗鋼生産能力は年当たり10億トンで、現在の生産量は7億2000万トン。
この生産量は世界全体の生産量の46%に当たる。
インフラや不動産への投資が大幅に減少すれば、製鉄所の稼働率は劇的に落ち込むだろう。
同じことはセメントにも言える。そして不良債権が急増することになろう。
■調整圧力が当局の管理能力を上回る恐れ
従って最大の問題は、
中国経済における調整圧力が、必要な調整をスムーズに管理していく政府当局の能力を上回ってしまう恐れはないのか、
というものになる。
中国経済はまさに一度クラッシュする必要がある、との意見もあるかもしれない。
中国当局はそれには同意しないだろうし、筆者も同意しない(筆者ごときがそうしたところで何も変わらないが)。
それに、中国当局には利用できる政策対応手段がたくさんある。
とはいえ、金融面のストレスやマクロ経済の調整のために景気が下振れするリスクは急激に増大している。
そのリスクはどれほどの大きさなのか。
取られ得る対応策にはどんなものがあるのか。
それは来週論じることにしたい。
By Martin Wolf
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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月28日 7時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=85573&type=0
中国、2020年末までに米国を抜き、世界一の経済体に―豪紙
2014年3月24日、豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドは、今後の中国経済について、成長率はこれまでのように10%前後とまではいかないものの安定的に推移し、2020年末までには米国を超えて世界一の経済体になるだろうと報じた。
25日付で環球時報が伝えた。
HSBCなどが24日に発表した3月の中国購買担当者景気指数(PMI)の速報値は48.1で、8カ月ぶりの低い水準となった。
ただし、24日当日の上海総合指数は上昇しており、PMI悪化のニュースはマーケットに大きな影響を与えなかった。
中国の指導者層は、経済成長率の構成要素は非常に複雑であるため、対外的に宣言した経済成長目標率7.5%に関して、数ポイントの上下は許容範囲であり、中国経済に大きな混乱を与えないと早くから語ってきた。
HSBC中華地区の屈宏斌(チュー・ホンビン)チーフエコノミストは、PMIの低下に関し、
「中国政府は安定した成長のために一連の政策を打ち出すだろう。
可能な政策には、
★.民間投資に対する規制緩和、
★.地下鉄建設や
★.大気汚染や
★.公共住宅への投資、
★.貸出利率の引き下げ
などがある」
と語る。
一方で、過去数年間PMIの低下は中国の工業・生産業界にほとんどマイナスの影響を与えてこなかった。
50を下回るPMIは、本当に中国経済の成長スピードの鈍化を意味するのだろうか?
AMPキャピタル・インベスターズのチーフ・エコノミスト、シェーン・オリバー氏は
「現在の中国経済の規模は07年当時の約2倍に相当する。
従って、現在の成長率7%は7年前の13%の成長に匹敵する」
と分析する。
中国経済がこれほど巨大な規模になった現在、成長率が7.2%であれ、7.6%であれ、実際には大きな違いはない。
中国は、今後数年間は経済成長率は低いながらも安定的に推移し、20年末までには米国を抜いて世界一の経済体になるだろう。
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【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】
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