2014年3月28日金曜日

中国経済の崩壊はいよいよ今年か?:’中国の銀行で取り付け騒ぎ、勢いづく万年弱気派

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● 中国の銀行で取り付け騒ぎ、破たんのうわさで


ロイター 2014年 03月 25日 19:38 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA2O05Q20140325/

中国の銀行で取り付け騒ぎ、破たんのうわさで=報道

[上海 25日 ロイター] -
 中国の通信社、中国新聞社によると、江蘇省塩城市にある銀行で24日、取り付け騒ぎが起きた。
 銀行が破綻するとのうわさが広がり、預金を引き出そうと数百人が押しかけた。

中国新聞社によると、塩城市にある江蘇射陽農村商業銀行の支店で取り付け騒ぎが発生。
 現地の当局者はこれを確認した。
 同行の会長、Zang Zhengzhi氏は、すべての預金者に対する支払いを確実に行うと述べた。

 塩城市では1月にも、地元協同組合が資金不足から閉鎖しており、預金者の間に不安が広がっていた。

 江蘇射陽農村商業銀行には預金準備率など、預金者保護のための規制が適用されているため、預金者の間で突然破綻の懸念が広がった理由は明らかではない。

 支店がある塩城市亭湖区の共産党委員会のZhang Chaoyang氏は、
 「このようなうわさが存在するというのは事実だが、(銀行の破綻は)実際は不可能だ。協同組合の問題とは全く状況が違う」
と述べた。

 江蘇射陽農村商業銀行の事務管理部門の職員は、間もなく声明を発表するとしている。同行のウェブサイトによると、同行の資本金は5億2500万元(8500万ドル)で、2月末時点の預金残高は120億元となっていた。
 
*内容を追加して再送します。


 「当局が取り付け騒ぎのテストをした」という見方がある。
 どうであれ、実際に銀行に民衆が押しかけたことだけは確かである。
 ということは、国内に相当な経済不安が蔓延しているということにもなる。
 もしこれに本当に火がつくとどうなる。
 とても尖閣問題ではあるまい。
 民衆は必死になる。
 なんといっても自分の財産の問題になるのだから。
 ウワサはウワサを呼んで、流動化する。
 あちこちの銀行が襲われるということにもなりかねない。
 政府はシャドーバンクに金をつぎ込んで救済しなければならなくなる。

 生態系環境の汚染に沈んで苦しんでいる中国だが、これからいよいよ本格的に社会的問題、すなわち圧縮成長のツケ、というよりウミが吹き出してくる。
 ウミ対策をする片方で、成長経済はどんどん進行しているからして、ウミの量産化に邁進することになる。
 この矛盾をどう乗り切るのだろうか。
 2015年から2016年にかけてその姿が明瞭化してくるように思える。


2014.04.03(木)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40353

中国の債務問題はどんな終わりを迎えるのか
(2014年4月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国は例外なのか。
 それとも大半の国々と同様に、借金を積み重ねた日々は悲しい幕切れを迎えるのか――。
 世界では今、この問題が熱心に議論されている。

★.一方には、中国版「ミンスキー・モーメント」の到来を予想する向きがある。
 かのハイマン・ミンスキーが予言した、信用供与の規模が大きくなりすぎて金融システムがパニックに陥る瞬間のことだ。
★.他方には、中国で計画されている経済成長にとって、あの債務の山は脅威でもなんでもないと主張する人がいる。
 成長率は7%を上回ると当局が言っているのだから上回るだろう、というわけだ。

 さて、どちらの言い分が正しいのか。
 「どちらも正しくない」というのが筆者の答えだ。
 中国が金融メルトダウンに陥ることはない
 だが、
 借金中毒の時代はいずれ終わり、適切に管理された低成長の時代が来る
だろう。

■最近の中国経済情勢に関する3つの明らかな事実

 最近の経済情勢については、3つの事実が明らかであるように思われる。

★.第1に、当局の統計を額面通りに受け取るなら、
 中国の国内総生産(GDP)に占める
純輸出の割合は、2007年の8.8%から2011年の2.6%に縮小
している。
 この穴を埋めたのは投資であり、その割合は同じ時期に42%(これでも極めて大きな値だ)から48%に拡大している。
 確かに、報告されている投資の規模については疑問が残るが、この急増を疑うのはあまり合理的ではない。

★.第2に、GDPに占める投資の割合の急拡大とリンクしていたのが、信用供与と債務の急増だ。
 国際通貨基金(IMF)によれば、中国政府当局の言う「社会融資」残高は昨年第4四半期までにGDPの200%相当額に達していた。
 世界金融危機前にはわずか125%相当額だったことを考えれば、文字通りの急増だ。

 しかも、この増加分の大半は伝統的な銀行貸付によるものではなく、いわゆる「中国の特色を備えたシャドーバンキング(影の銀行)システム」の爆発的成長によるものだった。
 このシステムは、西側諸国では評判を落としている複雑な証券化やホールセール市場に依存したものではなく、信託のような新しい金融仲介業者と「理財商品」のような革新的金融商品を柱にしている。

 格付け会社のフィッチによれば、現在の民間セクター向け信用残高(GDP比)は2007年当時の米国のそれと同程度だという。

★.第3に、中国はこの10年間に年率10%以上の経済成長をたびたび記録したものの、2012年と2013年は約7%にとどまっている。
 まだ高い水準ではあるが、非常に高い水準だとは言えない。

 どの国かは言えないが、投資と信用残高が急増した一方で成長率は低下しているところがあるんだと言われたら、読者はどんなことを考えるだろうか。
 その国では経済における投資活動の比率が高まっており、その資金は借り入れで調達されている。
 そして同時に、投資がもたらすリターンは小さくなってきている。
 となれば、読者はまず間違いなく、ハッピーエンドではない結末を想像するのではないだろうか。

 「今回は違う」と主張する向きもある。
 スタンダード・チャータード銀行のピーター・サンズ最高経営責任者(CEO)は、世界金融危機前のほかの国々と今日の中国との間にはいくつか違いがあると指摘している。
 中国は借金で消費ではなく投資をしており、借り手は企業が中心であり、中国は外国の債権者に依存していない、
というのがそのポイントだ。
 また、人民元には外貨に自由に換えることができない面もある。

■「今回は違う」という見方の根拠

 前半の2点は説得力に乏しい。
 実際、ミンスキーの金融不安定性仮説は企業金融に関するものだった。
 また、1930年代の米国や1990年代の日本で大きく膨らんだ債務の主体は、企業の借入金だった。
 重要なのは投資の質だ。
 その点を考えれば、疑念が生じるのももっともだ。

 IMFのスタッフが先日発表した研究成果によれば、中国ではGDP比12~20%の過剰投資が行われてきた可能性がある。
 不動産開発や工場建設の一部は浪費だったと見られるのだ。

 それに比べれば、後半の2点には説得力がある。
 中国は純債権国であるうえに、為替管理も行っている。
 中国国内の債権者は、中国の外に資金を持ち出すことができない。
 金融システムの一部から資金を引き出しても、結局は別の国内資産に戻すしかない。
 中国人民銀行(中央銀行)は、いかなる取り付け騒ぎにも対処できるのだ。

 またIMFによれば、中国の「拡張公的債務残高(公的な統計では捕捉されないことがある地方政府の支出も含めた指標)」は、2012年の時点でGDPの45%相当額でしかなかった。
 明らかに中国政府は、やろうと思えばどんな損失にも耐える余力を持っている。

 現在の中国経済は1990年当時の日本経済とは違って比較的開発されておらず、先進国にキャッチアップする長期的な潜在力がまだ残っていることを考えれば、特にそうだ。

 だが、これは万事が順調であることを意味するわけではない。
 リチャード・ニクソン大統領の経済顧問だった故ハーバート・スタインの有名な言葉にあるように、
 永遠に続き得ないものは終わる
のだ。

■問題は、急激な信用拡大がどんなふうに、いつ終わるか

 中国でさえ、信用供与が永遠にGDPより急速に伸び続けることはあり得ない。
 問題は、それが終わるかどうかではなく、どんなふうに、いつ終わるか、だ。
 今の状況が長引けば長引くほど、やがてひどいサプライズに見舞われるリスクが高まる。

 さらに、近年の成長の一部はほぼ間違いなく幻想だった。
 大したリターンを生まない投資はある意味で、価値ある生産高ではなく無駄だ。
 そうした投資が需要に与える直接的な影響がどれほど有益に見えたとしても、だ。

 債務の蓄積は金融崩壊で終わるというよりは、成長が弱まるにつれ、すすり泣きのように終わる可能性が高い。

 IMFのスタッフによれば、家計の貯蓄者に対する低金利は、年間GDPの4%程度、投資を助成することに貢献してきた。
 大企業が優先されているために、中小企業は高い資本コストを負わされる。
 投資を今のような高いレベルで維持するには、家計と中小企業に対するこうした暗黙の税金は恐らく増加せざるを得ず、経済に損害をもたらすだろう。

■中国政府が直面するジレンマ

 そうなると、中国政府は1つの明白なジレンマに直面することになる。
★.債務が増大するに任せ、将来、より大きな問題を生み出すか、
★.急激な改革を実施し、今、投資の減少とより大きな計画外の景気減速のリスクを冒すか、
どちらかだ。
 解決策は、その真ん中でなければならない。
 調整と改革を加速する一方で、中央政府が運営する金融・財政政策を通じ、総需要を維持するのだ。

 危機を先送りする中国の能力から、時の権力者は調整を遅らせるという選択肢を好むかもしれない。
 それはとてつもなく大きなミスになりかねない。

 いつまでも債務を増やし続けることによって成長を維持することは不可能だ。
 改革とリバランス(再調整)は絶対不可欠だ。
 先月の中国開発フォーラムで筆者が聞いた限りでは、中国の当局者らはこれを理解していた。
 実際、これらの改革なしでは、資本勘定を自由化する中国当局の計画は致命的な結果を招きかねない。

 中国は金融危機を回避することができる。
 改革への圧力を減退させてしまう恐れもあるものの、これは恵みだ。
 ただ、改革は行われなければならない。
 それも早いに越したことはない。

By Martin Wolf
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ロイター 2014年 04月 3日 18:04 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYEA3205V20140403

焦点:中国経済の崩壊はいよいよ今年か、勢いづく万年弱気派


●写真は中国の国旗。北京の建設現場で昨年11月撮影(2014年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[シンガポール 3日 ロイター] -
 中国経済に対する弱気論者は10年以上も前から不動産バブルの崩壊や債務危機など、破滅的な事態を予言し続けてきた。
 これまでは予想が裏切られることの連続だったが、今年は様相が違うとの声が挙がっている。

 懸念をもたらしているのは、
★.資金調達コストの上昇、
★.人民元相場の不安定化、
★.短期金融市場の流動性危機、
★.社債のデフォルト(債務不履行)
といった数多くの要因だ。
 万年弱気派が「それみたことか」と言える日がついに訪れるのだろうか。

 「巨大で歴史的な動きが起こる。恐らくそれは今年だ」
と警告を発するのは、過去15年間、中国経済の崩壊を予想し続けてきた中国系米国人の法律家でコラムニストのゴードン・チャン氏だ。

 エコノミストのアンディー・シー氏が行う講演は、中国の不動産と株式市場が崩壊すると予言する内容で人気を集める。
 ただ、
 「聴衆はお金を払って聞きに来て、恐れをなすが、会場から出ればまた楽観的になる」
と述べ、講演がホラー映画のような娯楽と化しているとシー氏は説明した。

■<分岐点>

 中国の景気が減速し、民間債務が国内総生産(GDP)の2倍に膨らんだデータが示されたことで、今年は弱気派が勢いを増している。

 習近平国家主席は投資主導から消費主導経済への転換を図る決意だが、それには急激な景気減速と債務デフォルトが避けられないため、中国は分岐点を迎えているのだ、と弱気派は言う。

 チャン氏は、毛沢東氏の死去以降30年間の中国経済の近代化が深刻な支払い不能状態やデフレ、汚職を覆い隠してきたが、最終的には破綻を迎えると主張。
 世界金融危機を受けて中国政府が2008年に実施した大規模な景気対策が無ければ、崩壊は既に起こっていたと言う。

 著名投資家のジョージ・ソロス氏も中国経済について警鐘を鳴らす一人だ。
 ソロス氏は最近、
 中国の「幾何級数的な債務増大」について記し、
 このような債務増大はあと数年しか持続できない
と予告した。

 モルガン・スタンレーのアナリストチームは中国経済について弱気論を繰り返し唱えており、先月は中国が「ミンスキー・モーメント」を迎えたと指摘した。
 これは経済学者ハイマン・ミンスキー氏にちなんだ言葉で、投機的な借り入れに煽られた信用ブームが崩壊を迎える時点を示している。

■<債務水準が限界に>

 2008年に中国株市場の暴落を繰り返し予言し、地元メディアに「米国のオウム」と名付けられたエコノミストのシー氏は今、不動産市場の暴落を予想している。
 「1年以内に人々は大混乱に陥るだろうが、彼らは今、そのことについて語りたがらない
という。

 ブロガーとしても著名な北京大学・光華管理学院のマイケル・ペティス教授は、
 2022年までの10年間に中国の経済成長率は平均3─4%に急減速すると予想
する。
 教授は、これまで認識できなかった損失が今後は成長率に織り込まれ、正確な数字が算出されるようになるため、成長率はさらに低下すると説明した。

 ペティス教授も、債務規模が金融市場に困難をきたす水準に達した途端、中国経済が急停止するリスクはあると認める。
 と同時に、中国政府は景気をうまく減速に導き、債務が限界に達するのを避けることができるとも予想している。

(Vidya Ranganathan記者) *見出しの体裁を整えて再送します。



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中国経済の動向、9つの点から分析―独誌

  2014年4月2日、中国の今年2月の輸出額は前年同月比18.1%減となった。
 「中国経済の『ハードランディング』を経験しようとしているのだろうか?」
と、世界各地の投資家の目を疑わせた。
 楽観者は、
 「中国は経済の過度な成長を抑制し、経済改革のペースを加速しようとしている」
と指摘した。
 しかしこれには時間がかかり、一定のリスクが存在する。
 現在の中国の経済発展は、9つの重要な問題に関わっている。
 3月31日付独週刊誌「フォークス」の記事
 「経済の巨人は崩壊するか?中国について知るべき9つのこと」
を引用し、環球時報が伝えた。

1]、中国の新年の経済は本当に低迷したのだろうか?
 1-2月のデータは確かに振るわなかったが、旧暦の正月による連休を迎えていたため、これは想定内のことだ。

2]、景気低迷に対して、政府はどのような対策を講じているか?
 中国は措置を講じ内需を刺激しており、プロジェクト建設とインフラ整備が重点となっている。
 専門家は、金融政策も緩和に向かうと予想した。

3]、景気低迷の一方で貸付を拡大しているが、これは苦境に陥っているということだろうか?
 貸付削減は期待に合致しており、中国政府と中央銀行は起こりうる信用バブル戦に備えようとしている。

4]、危険な信用バブルは膨張しているのだろうか?
 悲観主義者と呼ばれるエコノミストのマーク・ファーバー氏は、
 「中国には大きな信用バブルが存在する」と述べたが、
 成長率の低下により経済が健全化しリスクが低減するとも指摘した。

5]、中国の資本市場にはどのようなリスクがあるか?
 シャドーバンキングが貸付市場の中で重要な力を発揮している。
 中央銀行はいわゆる資産管理商品、信託商品の監督管理を強化する。

6]、シャドーバンキング問題は、リーマン・ショックのような危機を引き起こすだろうか?
 この可能性はない。
 中国の伝統的な銀行の貸付規模はシャドーバンキングを大幅に上回り、かつ中国は巨額の外貨準備高を保有しているからだ。

7]、人民元は脅威に直面しているのだろうか?
 中国は人民元の対米ドル相場の変動幅を拡大した。
 人民元は短期間内に疲弊する可能性があるが、長期的に見るとさらに上昇することになる。

8]、中国株式市場の暴落の時代は終わったのだろうか?
 専門家は、現在の株式市場はなおも低迷すると指摘した。
 一部の人は、中央銀行と政府の金融緩和策と刺激策により、株式市場が活況を呈すると予想した。

9]、世界経済にどのような影響が生じるか?
 中国の現在の輸出額は2000年の6倍以上に達するが、ドイツは2000年比で80%増にとどまっている。
 ゼネラル・モーターズの中国
 販売台数は国内市場を上回っており、フォルクスワーゲンの2台のうち1台は中国で販売されている。中国の経済が安定成長を維持すれば、世界経済にとって非常に有利だ。

(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/武藤)



レコードチャイナ 配信日時:2014年4月6日 8時15分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=86018&type=0

<コラム・巨竜を探る>
中国経済崩壊論の虚実―シャドーバンキングは致命傷か?


●世界最大の消費市場である中国経済の行方に世界中が注目している。習近平政権は7.5%成長を維持しつつ、構造改革を優先課題とする方針だが、社債の債務不履行など金融リスクへの警戒も広がり、「景気」と「改革」の両立は困難を極める。写真は上海リニアモーターカー。

 世界最大の消費市場である中国経済の行方に世界中が注目している。
 習近平政権は7.5%成長を維持しつつ、膨らむ「シャドーバンキング(影の銀行)」対策など構造改革を優先課題とする方針を確認した。
 社債の債務不履行(デフォルト)など金融リスクへの警戒も広がり、「景気」と「改革」の両立は困難を極めるが、ここに来て、
 中国政府は景気重視に舵を再び切り始めたようだ。

「中国経済の崩壊論を10年前から唱え出版してきたが、なかなか崩壊しないので困っている」
と高名 な評論家から打ち明けられ、筆者の方が当惑したことがある。
 書店店頭には「中国経済の崩壊」を予想する書籍が溢れている。
 月刊誌、週刊誌、夕刊紙でも「中国バブル崩壊」「中国経済破たん」といった論調のセンセーショナルな見出しが躍っている。
 知人の月刊誌編集者は
 「読者の多くは中国の急成長ぶりに『こんなはずではない』と脅威を抱き、中国の『行き詰まり』を“期待”しているので、勢いアラ探し的な記事が多くなる」
と釈明した。

◆バブルが崩壊した日本の轍を踏むか?

 かつて「経済失政」により、バブルを創りバブルを崩壊させた日本と異なり、中国の経済政策はしたたかだ。
 この10年間で中国のGDPは4倍になり、既に日本の2倍近くに達した。
 IMF(国際通貨基金)が13年10月に発表した世界の経済見通しによると、
 中国のGDPは2011年~28年の7年間で倍増し、
 拡大幅は6兆4380億ドル(約680兆円)と米国を凌駕。
 世界全体に占めるシェアは24.6%と米国の23.1%を上回る。
 英エコノミスト誌が編集した「2050年の世界」によると、
 2050年に世界全体の中で占めるGDPシェアは
①.中国が30%、
②.米国は18%に縮小、
③.日本はわずか3%
にとどまるというから衝撃的だ。

 国際金融市場関係者の間で、李克強首相が最近中国地方団体幹部職員の集会で行った演説が、「中国経済の先行きを占う上で重要」と注目されている。
 同首相は改革計画を速やかに実行する決意を強調しながらも、経済の下降傾向を率直に認め、以前より「若干の刺激策」を実施する方針を明らかにした。

 具体的に、住宅とインフラ(鉄道、高速道路)、に注力。
 鉄道建設は昨年より1000キロ増の6600キロに拡大するほか、老朽化した住宅の建て替えも進める。
 中小・零細企業の所得税を半分にする減税にも踏み出す。
 経済対策の総額は1兆元(約17兆円)を超える見通しだ。

 李首相はまた、「西側諸国の経済が回復しつつあるため輸出促進を考慮する必要がある」と言明。 
 補助金や促進策は考えていないものの、最近の人民元の切り下げは輸出促進を意図している可能性がある、と市場関係者は見ている。

 さらに李首相は、政府の汚職摘発に関しては、不動産部門に関する権力乱用、特にわずかな対価で農地等の土地収容を行うことに厳重な監視を行うとしている。
 また住宅部門に関する投機への対応するとともに、不動産のバブルとその崩壊を回避し、市民の資産を保護する必要があると強調した。

◆国有企業の改革は後回し

 李首相は経済成長促進のカギとして、都市化を促進するためのインフラ投資に注力することを示し、「人民の生活を改善するには、毎年1000万人以上の都市労働力を生み出す必要がある」とし、「7.5%前後という目標は雇用を確保し、人民の収入を増やす上で合理的な目標」と強調している。
 しかし市場筋は民間部門がカギを握っていると見ており、
 「銀行からの融資その他資源配分の面でそれが十分配慮されているとは到底言えない」
と問題視している。
 国有企業の民営化など抜本的改革が不可欠とされるが、習近平国家主席はオバマ米大統領との3月の首脳会談で、国有企業改革は、差し迫った優先課題ではないことを説明したという。

 13年春に日本の一部メディアを中心に喧伝された「7月バブル崩壊説」が杞憂に終わったあとも、ずっと崩壊論が叫ばれているが、本気で崩壊すると見るエコノミストは少ない。 
 一時下落した不動産価格も持ち直した。

 背景には、金融危機に見舞われた米国や日本と違う中国の特殊要因があるとみられる。
 最大手の中国工商銀行など国有商業銀行は2006年以来の上場で経営体力を備えており、「不良債権を独自に償却する余力が十分ある」という。
 シャドーバンキングが売っている「理財産品」(高利回り投資商品)も投資家に金利だけ支払えば不良債権化せず「自転車操業を続けることも可能」といわれる。

 中国経済に詳しい関志雄・野村資本市場研究所シニアフェローは
 「シャドーバンキングが破たんしても、中国の銀行本体の財務状況は良好で、損失をカバーする体力があるし、そもそも国有銀行だから政府が支援に乗り出す」
と明言。
 河合正弘・前アジア開発銀行所長も
 「中国の金融当局は解決へ正面から取り組んでいる。
 日本のバブル崩壊後の金融混乱や米国のサブプライム問題をきっかけとしたリーマンショックと異なり、中央政府の強い権限や高い財政力などを背景に、この問題の制御は可能だ」
と分析している。

 13年3月末で過去最高の3兆4400億ドル(約340兆円)もの外貨準備を保有する中国では、
 「地方政府がデフォルトに陥っても、中央政府の鶴の一声で債務処理が可能」
となる。
 IMF(国際通貨基金)によると、中国の公的債務のGDP比率は昨年末で22%にすぎない。
 日本の236%、米国の107%という財政状況に比べ、格段に健全だ。

 中国はなお実質的な計画経済下にあり、従来、政府は目標を順守するため、財政支出拡大などによりほぼ達成してきた実績がある。
 ところが、不動産バブルの醸成など「帳尻を合わすためのインフラ投資」の弊害が拡大しているのも事実だ。
 李首相は、社債など金融商品のデフォルトを一部容認した上で、金融リスクの拡散防止に全力を挙げる考えを示した。
 なお不透明要素は多いものの、安定成長軌道に乗りつつあると見ていいようだ。

<「コラム・巨竜を探る」その37>

<「コラム・巨竜を探る」は八牧浩行Record China社長・主筆によるコラム記事。著書に「中国危機―巨大化するチャイナリスクに備えよ」(あさ出版)など>



 International Business Times  2014年4月14日 08時31分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/56459/20140414/1397431868.htm

中国財政次官、IMFが指摘したハードランディングリスクを一蹴

 中国の朱光耀財政次官は、中国にはハードランディングのリスクがあるとの国際通貨基金(IMF)の警告を一蹴。
 政府は金融リスクに対する対応をとっているとの見解を示した。

 同次官は一部の西側記者団に対し、IMFとは緊密に調整しているが全てにおいて同意しているわけではないと指摘。
 「IMFは専門的な金融機関だと考えているが、
 利用している方法や伝統的な考え方には改革が必要
との認識を示した。

 その上で
 「IMFの分析や方法論は、各国の実態を反映する必要がある。
 これは世銀にもいえることで、ひとつの方法が全てに適合するわけではない
と述べた。

 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、中国には少ないながら「ハードランディング」のリスクがあるとし、シャドーバンキングや金融セクターの自由化などを進めるよう求めた。

 中国は既に対策をとっているとし、
 「リーマン危機や欧州債務危機時の欧米の対応と比べ、中国の対応はこれまでのところ最も成功していると考えている」
と語った。

 地方政府の資金調達を行う融資平台問題は、政府債務と保証債務を明確にするための監査が入っていると指摘した。

 最近の人民元下落については他の当局者と同様の見解を繰り替えし、
 「需給の変化により人民元レートも上下するよう望む」
と述べた。




【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】




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