2014年5月12日月曜日

中国、止まらない頭脳と資産の流出:健康と財産はいまの宝、教育は明日の宝、それが中国にはない!

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CNNニュース 2014.05.11 Sun posted at 18:08 JST
http://www.cnn.co.jp/world/35046264.html?tag=top;subStory

人材も資産も国外へ――中国からの流出が止まらないわけとは


●中国で「世界最悪の頭脳流出」が起きている

 香港(CNN) =
 中国で人材の国外流出が止まらない。
 北京に本拠を置くシンクタンク「中国グローバル化研究センター」(CCG)の調べによると、2013年、海外で暮らしていた中国人は850万人で、多くは中流階級だ。
 一方、中国に移り住んできたのは、わずか84万8000人にとどまる。

 共産党機関紙「人民日報」はこの状況を「世界最悪の頭脳流出」と伝えた。

 中国人が大挙して海外移住する例は過去にもあったが、今回は資産と人材が流出するという意味で、かつてない現象だ。
 何がこの国外脱出を促しているのだろうか。
 また、こうした流れに抵抗するため、中国政府は有効の対策を取れているのだろうか。

■財産の保全

 海外移住を加速させている要因としてまず挙げられるのは、富裕層の資産防衛だ。

 この背景には、習近平(シーチンピン)国家主席が汚職対策を精力的に進めた結果、コネのある富裕層も当局の摘発から逃れ切れなくなっている現状がある。
 不正な収入を得た幹部が妻や子、資産を海外に移す「裸官」も、こうした富裕層に含まれる。

 移住者の数は年々増えており、中国の富豪番付として有名な「胡潤百富榜」によると、
 富裕層の64%がすでに移住に取り掛かっているか、来年の移住実現に向けて計画を練っているという。


●富裕層の過半数が海外への移住を検討しているという

 中国人が外国に移住するにあたっては、米国をはじめとする先進国で発行される外国人投資家向けのビザを活用することが多い。

 ただ、投資ビザを巡っては論争もある。
 カナダの移民当局は先ごろ、申請者数が膨大になったことや国内で反対の声が強まったことを受けて、多額投資への見返りに永住権を与える移民プログラムを廃止した。
 海外移住希望の中国人にとっては残念なニュースとなった。

■教育と仕事

 財産保全以外にも、スキルがより評価される場所で職の機会をみつけたいとか、より高水準の教育を受けたいといった動機で海外移住する場合もある。
 ポストドクターや博士課程の学生がチャンスをうかがってしばらく海外に残ることも多い。

 中国では就職にあたってコネによる採用が主流であることも学生たちが帰国をためらう要因になっている。

■健康は宝

 大気汚染による健康被害への不安も、外国移住増加の主因の一つだ。
 北京をはじめとするとする中国東北部では大気汚染によるスモッグが深刻化しており、健康に悪影響をおよぼす水準にまで達することもある。


●大気汚染などによる健康被害への懸念も人材流出の要因の一つとみられている

 こうしたなかで、お金に余裕がある層は真剣に海外脱出を考えだしている。

■人材争奪戦

 それでは、このような資産や頭脳の流出は、中国にとってどれほどの痛手となっているのだろうか。

 CCGのディレクターである王輝耀氏は、この現象を中国経済の長期的な変革に対する脅威と捉える。
 同氏は
 「米国は79億人から人材を選べるが、中国の人材は13億人だけだ」
と指摘。
 移民局を設立して、高い技術を持った外国人働者の受け入れを拡大するよう政府に働きかけている。

 もっとも中国当局も手をこまねいているわけではない。
 流出した人材の国内環流に向けて積極的な動きを展開している。
 2009年には政府肝いりで「1000の才能プログラム」が立ち上げられた。
 トップレベルの科学者や起業家を母国に呼び戻そうという試みだ。

 これは手放しの成功とはいかなかったが、CCGは、技能の習得や人脈の拡大など、人材の国外流出にも良い面はあるとしている。



【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】



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